著者
吉山 尚裕
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
大分県立芸術文化短期大学研究紀要 (ISSN:13466437)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.69-79, 1992-12-31

本研究では、孤独感尺度(LSO)によって類型化されるA〜Dの各タイプの青年が、周囲の他者や社会との関わり方に関して、どのような傾性を持っているのかを検討した。主な結果は次の通りである。(1)相関分析によると、LSOの対他的次元(U)において、人間同士理解・共感しあえると感じている者ほど肯定的な人生態度を持ち、連帯感や独立意識も高い。これに対し、対自的次元(E)において、自己(人間)の個別性を強く意識している者ほど、否定的な人生態度を持ち連帯感が弱く、不安感が高い傾向にあった。(2)孤独感の類型別(A〜D型)に各尺度の平均値を比較すると、A型とD型が生活・人生・社会に対して肯定的な態度を持ち、連帯感や独立意識も高く不安感は低い。これに対し、B型とC型は生活・人生・社会に否定的で不信感を持ち、連帯感や独立意識も低く不安感が高かった。(3)「パターン分類の数量化」によれば、A型を中心にしたグループ(人生・生活・社会に肯定的で連帯感が強い)、B型を中心としたグループ(独立意識が低く不安感が高い)、C型を中心にしたグループ(人生・生活・社会に否定的で連帯感が弱い)、D型を中心としたグループ(独立意識が高く不安感は低い)の4つのグループに分類できた。総じて、A型とD型はB型やC型に比べ、生活・人生・社会に肯定的であり、友人や仲間など身近な人間関係に積極的で、独立意識も高かった。しかしながら、「パターン分類の数量化」の結果が示すように、A型とD型は必ずしも類似したタイプではない。A型は、人生・生活・社会に対して肯定的で連帯感も高く、"他者との情緒的融合状態"にあるタイプと考えられるのに対し、D型は独立意識が強く"一人でいることに充実感"を感じているがゆえに不安感も低いタイプであると言えよう。B型とC型については、B型が独立意識の低さや不安感の高さによって特徴づけられるのに対し、C型は人生・生活・社会への否定的態度と連帯感の低さによって特徴づけられた。LSOの対他的次元(人間同士の理解・共感の可能性)と対自的次元(自己の個別性の自覚)の組合せによって孤独感の特徴はかなり異なっている。この点は、UCLA尺度を用いた研究からは明らかにされていない結果であり、今後、この二つの次元の組合せによって孤独感の様態にどのような違いが生み出されるのか、より詳細に検討していく必要がある。また従来、孤独感は不安感など適応不全とも関連することが明らかになっているが、本研究では、孤独感が独立意識という青年期の発達課題とも関連していることが示唆された。今後は、孤独感が日常生活の中で、対人行動や社会的ネットワークなどとどのように関わっているかも明らかにしていく必要があろう。

言及状況

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関連のありそうな文献をいくつか。(PDFダウンロード可) 「青年期の孤独感 : 孤独感と社会的傾性」 吉山 尚裕 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004835924 「ある在宅痴呆性老人家族介護者の自己強化のプロセスと他者との関わりの意味 : Hさんの介護体験の半ライフヒストリー的分析」 松村 ちづか http://ci.nii.ac.jp/naid/110 ...

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