著者
田中 淳 前島 渉
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.345-355, 1998-09-25
被引用文献数
1

堆積物重力流は,流下にともなってその性格を変化させ進化していく.重力流の進化には,重力流内部における物質分化と重力流の特性変化が挙げられる.重力流内部における物質分化は,混濁流や土石流内部でよく知られており,そこでは構成物が粒径や比重の差を反映して流れの側方や上下に選別されていく.ニュージーランド南島のマッドクラスト礫岩は,この重力流内部での側方級化をよく記録している.一方重力流の特性変化は,重力流の粒子支持機構そのものの変化を伴う.流れ内への水の取り込みや粗粒物質の堆積,速度の増減などがこの進化を促す.有田層のデルタスロープ堆積物には,重力流の進化のスペクトラムがよく記録されている.このように重力流は,刻々とその性格を変化させながら,進化の各段階を反映した堆積物をその途次途次に堆積し,多様で複雑な堆積物を形成する.

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こんな論文どうですか? 地層から堆積物重力流の進化を読む : NZ南島トリアス系と白亜系有田層の例から(<特集>堆積過程に対応した地層解読をめざして(2))(田中 淳ほか),1998 https://t.co/xGfb71LOHI

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