著者
狩野 彰宏
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.177-187, 1997-05-25
被引用文献数
9

河川や湖などの淡水環境で生成するトゥファは,土壌層で二酸化炭素を吸収し石灰岩を溶解した水が地表に出た時に堆積する炭酸塩堆積物である.堆積に関係する様々なプロセスは気候の経年変化に影響されるので,トゥファの中には「年輪」とみなされる縞状組織が発達する.トゥファの表面に生息する様々な生物のうちシアノバクテリアは砕屑物のトラップ・カルサイトの核形成・光合成による二酸化炭素の脱ガスという3つの点でトゥファの堆積に貢献している.これら3つの効果の重要性については多くの議論があるが,光合成の効果については多くの事例で疑問が投げかけられている.年輪は精密な時間尺度を提供し,同位体分析や年代測定が比較的容易であることから,トゥファは古気候復元の有力な試料としての可能性を持つ.ただし,古気候復元の方法論についてはまだ確立していない部分が多い.

言及状況

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