- 著者
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樽野 博幸
- 出版者
- 地学団体研究会
- 雑誌
- 地球科學 (ISSN:03666611)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.4, pp.258-264, 1999-07-25
- 被引用文献数
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4
日本列島の中・下部更新統と鮮新統から産出する長鼻類化石の産出層準を,広域対比された火山灰層序に基づいて整理した.シンシュウゾウの出現は鮮新世の初期にさかのぽり,上限はガウス・クロンの下部におよぶ.標本数が少ないため,その産出層準は,地域によりずれているようにみえる.またこの層準では,火山灰層による地層の対比も不十分である.アケボノゾウ類似種はガウス・クロンの上部から松山クロンの下部の層準で産出している.アケボノゾウの産出層準は古琵琶湖層群産の1例をのぞいて,大阪層群の三ツ松火山灰層直下の層準からイエロー火山灰層層準で代表させることができる.ムカシマンモスの産出層準は,大阪層群のイエロー火山灰層層準からMa5海成粘土層層準で代表させることができるが,関東の上総層群では,より上位の層準からも産出している.しかし,この層準のものは誘導化石の疑いがある.トウヨウゾウの産出層準は,大阪層群のMa6海成粘土層直下からMa7海成粘土層の層準で代表される.