著者
鞍田 崇
出版者
人間環境大学
雑誌
人間環境論集 (ISSN:13473395)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.71-77, 2006-03-31

人間が生存するとは、つねにすでに種々のモノと関わりゆくことを意味しているといえよう。ところが、現代社会においては、久しく、この極めて当たり前であるはずのあり方が歪められたままである。その原因としては、さしあたり科学技術の無際限な拡張に依拠した経済活動が考えられるが、問題の根本的解決のためには、さらに議論を徹底し、現代社会の背景に存するニヒリズムの克服が試みられねばならない。ハイデガーは、まさにこうした文脈でニヒリズムの問題を根源的に検討した。そこからは、一つの帰結として、人間の側の作為を離れたあり方が要せられる。だが、現実問題として顧みた場合、われわれが自らの作為性を離脱することは不可能である。その点をふまえ、柳宗悦の民芸理論に、現代社会においてあるべきモノとの関わりの手がかりを求める。

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