- 著者
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柳田 宏一
小山田 巽
中西 喜彦
東條 英昭
小川 清彦
- 出版者
- 鹿児島大学
- 雑誌
- 鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, pp.19-24, 1978-03-19
野草地周年放牧牛における乳量, 乳成分および乳質の分娩季節の違いによる変動について調べた.また, 哺乳牛における体重の増減量の変化を乳量の変化と関連させ検討した.供試牛は, 鹿大農学部入来牧場で昭和43年から昭和52年の間に繁殖に供した母牛実頭数35頭を用いた.すなわち, 泌乳量と乳質については延べ70頭を, 1日当たりの体重変化については延べ169頭(哺乳牛126頭, 非哺乳牛43頭)をそれぞれ対象に測定した.なお泌乳量については, 泌乳前期(0〜3カ月)と後期(4〜6カ月)に分け分析した.1.野草地周年放牧牛の泌乳量は舎飼牛の泌乳量に比較して, 前後期ともに各季節を通して少なかった.分娩季節による泌乳量の違いは, 哺乳前期は季節間で差がなく, 冬季でもかなりの量が維持されていた.しかし, 後期の泌乳量は秋季と冬季の間で有意な差が認められ(P<0.05), 冬季は他の季節に比較して低下していた.これらのことは, 前回で得られた生後3カ月(哺乳前期)の子牛の発育に季節差がなく, その後(哺乳後期)の発育は冬季で著しく低下する事実とよく一致している.2.乳成分についてみると, 比重は冬季に低下し(P<0.05), 脂肪率や無脂乳固形分も秋季から冬季に低下する傾向にあったが, その差は有意でなかった.アルコール陽性乳の出現率は夏季に高くなり季節間で有意な差を示した(P<0.01).3.哺乳牛における1日当たりの体重増減量をみると, 哺乳牛は冬季に同時期の非哺乳牛に比べ著しい体重減少を示し, その程度は, 哺乳後期に比べ前期で顕著であった.