著者
河内 清彦
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.81-90, 2001-03

本研究では,視覚障害学生及び聴覚障害学生に対し大学生が想起するイメージの意味構造を解明するため,体育学系の男子学生108名と,教育・社会学系の男女学生137名にイメージ連想テストを実施した。得られた2686の記述語を,KJ法により分類し,43項目を選んだ。これらの記述語に数量化理論III類を適用し,標的概念と記述語の重み係数により相互の関連を検討した。その結果,障害学生の標的概念は,障害,性,学科を超え,「痛ましさ」と「忍耐力」の軸に囲まれた意味空間に位置していたが,記述語のレベルではグループ差がみられた。これらの標的概念と最もかけ離れていたのは,「好みの女子学生」と,「学力優秀な学生」の標的概念であったが,ここでは性と学科の影響が推測された。スチューデント・アパシー傾向を示す「自分自身」の標的概念は,他の標的概念との関連はなかった。障害学生の標的概念について記述語別の出現頻数による考察を行ったが,「視覚障害学生」は努力家で強く素晴らしいが,大変で苦しいという相反する記述語が共存していた。「聴覚障害学生」も全体的にはこれと類似していたが,性格面では前者が暗く,後者が明るいなど,部分的には障害種別の違いが示された。

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