- 著者
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新田 和宏
- 出版者
- 近畿大学
- 雑誌
- Memoirs of the School of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University = 近畿大学生物理工学部紀要 (ISSN:13427202)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.51-62, 2006-03-31
- 被引用文献数
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本稿は、日本における熟議民主主義の実践的な展開を、「市民会議」もしくは「市民委員会」での「ワークショップという熟議民主主義」として捉える。日本では、参加民主主義を実質的かつ制度的に保障すべき「参加の制度設計」を模索する中から、基礎自治体レベルにおいて、市民が政策形成過程に参加する「市民会議」・「市民委員会」方式が試みられてきた。その「市民会議」の内実を冷静に観察すると、そこでは「ワークショップという熟議民主主義」と呼ぶべき「日本型熟議民主主義」が展開されている。そして、本稿では、「ワークショップという熟議民主主義」を設定すべき要件とは何か、またそれを促進する要件とは何か、という問題意識に基づきながら、それらの基本要件を考察する。そのような考察から、「ワークショップという熟議民主主義」を担うファシリテーターという新しいタイプの政治的サブ・リーダーに注目する。さらに、何故に、日本では、熟議民主主義が「ワークショップという熟議民主主義」として展開してきたのか、その理由を「新しい政治文化」の出現に探る。