- 著者
-
石川 ひろの
中尾 睦宏
- 出版者
- 一般社団法人日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.201-211, 2007-03-01
- 被引用文献数
-
4
患者-医師間のコミュニケーションは,診察の主要な構成要素であり,患者-医師関係を築き治療を進めるうえで必要な情報の共有や意思決定をしていくための,最も基本的な手段である.診察における医師,患者のコミュニケーションは,各個人の特性によって異なるだけでなく,その場での相手のコミュニケーション行動に影響を受け,それに対応して変化していく.したがって患者-医師間のコミュニケーションを分析するためには,患者-医師間の会話や行動を客観的に評価すると同時にその相互作用を明らかにする必要がある.Roterが開発した相互作用分析システムは,医療現場に特有な相互作用を評価できるツールである.本稿では,そのシステムを日本の外来癌診療場面に用いた研究を紹介し,患者-医師コミュニケーション研究の新たな可能性について展望する.