- 著者
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堀江 薫
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.3, pp.93-107, 2005-07
本稿は、言語類型論の観点から、日本語と韓国語の文法化の対照を行う。具体的には「名詞の文法化」「アスペクトの文法化」「活用形の文法化」という三つのケーススタディを通じて、両言語の文法化に見られる共通性と相違点を明らかにすることを目的とする。両言語の文法構造の類似性を反映して、文法化に関しても表面的には多くの共通性が認められる反面、詳細に観察すると、両言語の間には、文法化パターンの生産性(拡張の度合い)や具体的な文法化の経路の詳細に関して興味深い相違点が観察された。今後は、適時的観点はもとより、談話に繰り返し現れる言語形式、構文が次第に固定化し、一定の文法的意味を表すようになる動的・共時的現象としての文法化の側面にも着目し、両言語の文法化の対照研究が生産的に行われることが期待される。