著者
諏訪 真美
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
医療福祉研究 (ISSN:13497863)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.78-84, 2005

青年の社会的ひきこもりは,さまざまな疾患がその背景となっている.そのうち統合失調症,気分障害,広汎性発達障害(アスペルガー障害),神経症,人格障害,一次性ひきこもりの鑑別を概説した.このなかで鑑別の困難な疾患の一つとして「アスペルガー障害」が挙げられる.アスペルガー障害のなかには幼児期・思春期に診断されないまま青年期になり,対人関係の困難さなどから就労が続かず,ひきこもるという形で事例化する場合がみられる.さらに診断の困難なものとしては,これまでの疾患分類では診断しきれない「一次性ひきこもり」が挙げられるが,これは現代日本の青年の新しい精神病理と考えられる.この2つの状態について,事例を交えて紹介しその精神病理および鑑別の要点・治療の差について解説した.

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