著者
藤井 麻湖(藤井真湖)
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究はモンゴル・フォークロアにおける馬の隠喩を『チンギス・ハーンの二頭の駿馬』をもとに考察したものである。チンギス・ハーンと密接な関係にあるため、モンゴルの古典『元朝秘史』研究と連動していることが本研究の特徴である。黄河湾曲部のオルドス地域は当該伝承の中心の地であるが、『元朝秘史』によればこの地を賜ったのはタタル部のイェスイ妃である。馬が女性、とくに非正妻を意味するという観点から二頭の馬をみるとき、チンギス・ハーンの非正妻であるタタル部出身のイェスイ妃とイェスゲン妃の二人の姉妹がモデルとして浮上してくる。
著者
岩下 紀之
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
愛知淑徳大学論集 (ISSN:03862712)
巻号頁・発行日
no.12, pp.11-23, 1987-01-20

Pages also numbered 112-100
著者
中島 美幸
出版者
愛知淑徳大学
巻号頁・発行日
pp.1-229, 2003-09-05
著者
佐藤 朝美 椿本 弥生 荒木 淳子 堀田 博史 松山 由美子 中村 恵 松河 秀哉
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、園と保護者が連携し、パートナーシップの関係性を構築するためのポートフォリオを開発することを念頭に、設計要件を導くための調査を行った。写真を共有するシステムを利用している保育者と保護者へインタビューを行い、パートナーシップの構築のために、保育者と保護者の互いの専門的知識を提供し合う方法が課題として挙げられた。そこで、保護者が園から提供された情報をもとに子どもの成長や学びについて深く考えていくために、園生活や活動の意義、園や先生の役割、保護者の成長と園との関連について振り返る支援を行うワークショップを開発・実践した。保護者の意識が変化し、そこから保育者との相互理解の可能性が示唆された。
著者
宮田 Susanne 伊藤 恵子 大伴 潔 白井 英俊 杉浦 正利 平川 眞規子 MACWHINNEY Brian OSHIMA-TAKANE Yuriko SHIRAI Yasuhiro 村木 恭子 西澤 弘行 辰巳 朝子 椿田 ジェシカ
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1歳から5歳までの日本語を獲得する子どもの縦断発話データに基づき発達指標DSSJ(Developmental Sentence Scoring for Japanese)を開発し、この日本語の発達指標を84人の子どもの横断データ(2歳~5歳)にあてはめ、標準化に向けて調整を行った.DSSJはWWW上のCHILDES国際発話データベースの解析プログラムCLANの一部として一般公開されている.
著者
牧 勝弘 石川 智治
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

42ch球状マイクロホンアレイを使用した音響計測により、ストラディバリウスに固有の音響的特徴は、放射方向の揺らぎや聴衆方向への放射の強さなどのバイオリン音の空間放射特性に現れることを明らかにした。また、多面体スピーカを利用した心理学的実験により、音の放射方向の時間的な揺らぎが演奏音の音色評価の向上に寄与することを示し、放射方向の時間的な揺らぎがストラディバリウスの特徴的な音色の一要因になり得る可能性を示した。さらに、奏者の熟練度がバイオリン音の空間放射特性へ与える影響を明らかにし、表板全域に渡るタップ音の周波数分析によりオールドバイオリン表板の特徴を示した。
著者
小沢 茂
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
愛知淑徳大学論集. コミュニケーション学部・コミュニケーション研究科篇 (ISSN:13463195)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.129-139, 2007

人間の認識は常に信頼できるとは限らない。時として,われわれが「見ている」と思っているものが,実は「見ていると思っている」ものであるような場合がある。建築家のDavid Macaulayは,「学生にスケッチを教えるとき,最初にすることは,見ているものと,見ていると思っているものを区別させることだ」と言う(410)。これは観察者の主観によって客観的事物の認識がゆがめられ,存在しているものではなく,観察者が存在していると思っているものの認識になっていることを示している。こうした,主観によって事実がゆがめられる現象は,はるかに大きなスケールでも見ることができる。歴史の記述はその一例である。歴史とはそもそも歴史家の主観性を抜きにしては語れない。E.H.Carrが指摘しているように,歴史は決して客観的事実の連続ではなく,著者の主観的解釈と密接に関係しており,もし歴史家の解釈がなければ客観的事実だけでは意味をなさなくなってしまうだろう(35)。このこと自体は特に問題ではないのだが,この主観性が肥大してくると,時として,事実を,特定の歴史観にあわせて歪曲し,事実から離れた歴史を作り上げることがありうる。こうなってくると,作り上げられた歴史はもはや事実を客観的に映し出したものではなく,特定の歴史観によってねつ造された虚構の物語になっていくことになる。フランス語の"histoire"が,「歴史」と「物語」の両方を指すように,歴史と物語の境界があいまいになり,区別がつかなくなってしまうのだ。北アイルランドに根強く存在し,1960年代後半から激しさを増してきた,"Troubles"と呼ばれる紛争もまた,「歴史」と「物語」が融合して現れるケースの一つである。中でも,1972年1月30日にデリー市(イギリス側の名称はロンドンデリー市)で起こった,通称「血の日曜日事件」は注目すべきである。これは,公民権運動のデモ行進をしている市民に対して英国軍が発砲,13人の市民が死亡したという事件だが,現在もなお,真相が明らかになっておらず,英国による公式の調査は,英国側の非を隠蔽するための"cover-up,"つまり,事実に基づいていない「物語」であった疑惑がもたれている。アイルランドの劇作家,ブライアン・フリール(Brian Friel)の作品,The Frddeom of the Cityは,「血の日曜日事件」に触発されて書かれ,その中で,北アイルランド紛争の背後で,「歴史」と「物語」がどのように融合しているのかを暴き出している。本論では,The Freedom of the Cityの中で,歴史と物語が一体となった"Histoire"がどのように現れているかを分析する。
著者
川合 南海子
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

男性同士の恋愛を描いたマンガや小説を愛好する女性たちがいる。恋愛における女性の存在を回避する彼女らは、自分の女性性や性役割について違和感を抱いているのではないか。腐女子を通して、現代の女性たちが感じている葛藤や抑圧を可視化することが本研究の目的である。20歳前後の女子大学生を対象に、好んで読む小説・マンガのジャンルによって3群に分け、ジェンダー・パーソナリティや性役割観について質問紙調査を行った。その結果、腐女子は伝統的な性役割を肯定する傾向が、腐女子でない女性よりも顕著に低かった。腐女子は、自身の女性性を受容している一方で、女性への通念的な性役割に対しては否定的であることが明らかとなった。
著者
曹 志偉
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
愛知淑徳大学論集. コミュニケーション学部・コミュニケーション研究科篇 (ISSN:13463195)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-12, 2007

陳舜臣(1924-)は現在日本の文壇で活躍する華裔作家である。彼は中国の歴史と文化を題材とした文学作品を描いてきた。陳舜臣文学は日本文学の範疇だけではなく、更に国を越えた文化、言語という独特な特徴があり、日中文化の真髄を表した文学といえるだろう。陳舜臣は日本戦後の社会変革、文学復興の中で、家業の貿易に従事しながら文学への道を探索し、最後には文学の世界に身を投じる。新人作家として、彼は自分の得意とする表現方法を選択しなければならなく、そして読者の鑑賞傾向の変化にも対応し、更に社会の需要に適応していかなければならなかった。戦後日本文壇の変化、多元文化の神戸、独特な華僑社会が陳舜臣文学を形成する重要な要素である。本稿は陳舜臣が文壇に向かった軌跡(1949-1961)に沿って、彼がどのようにして文学作品のスタイルを探求したのか。いかにして戦後文学の蘇りの波の中で文壇に登場するようになったのか。それに加えて、陳舜臣文学誕生の社会環境と時代背景を分析する。それが陳舜臣の二重文化の背景と独特な文学特徴の理解に役立つと共に、多元文化の社会環境が作家に与える影響を明らかにすることができると思われる。