- 著者
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渡嘉敷 恭子
- 出版者
- 関西外国語大学
- 雑誌
- 関西外国語大学留学生別科日本語教育論集
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.47-60, 2006
多くの日本語教師が文法書やテキストの文法説明に違和感を持った経験があるのではないだろうか。実際に日本語教育の文法説明と日本語の母語話者の認識との間にずれがあることも多い。本稿ではその一例として自動詞使役の被使役者を示す助詞の選択に焦点を当てた。(1) 文法書、テキストでの文法説明について調査してみると、「を」をとるとしか説明していないもの、「を」または「に」をとり、その意味の違いについて説明がないもの、自動詞使役では「を」または「に」をとり、「を」の場合は被使役者の意思に関わらず被使役者がその行為を行い、「に」の場合は被使役者の意思が尊重されて行為が行われるという解釈のものと、大きく分けて三種類の説明があることがわかった。日本語の母語話者を対象に行ったアンケート調査の結果、「に」と「を」の持つ「強制」「許容」のニュアンスの違いについて認識し、使い分けている日本語母語話者は少なく、助詞が重複しないように感覚的に助詞を選択していることがわかった。