著者
宮家 準
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.815-836, 2007-03-30

岸本英夫は死は別れで、死後自分は宇宙の霊にかえるとした。柳田国男は死後肉親に葬られ、その後供養された死霊は祖霊さらに氏神となるが、後継者のない死霊は無縁様(外精霊・餓鬼)になるとした。日本の伝統的な葬儀では死者の霊魂を他界に送ることに重点が置かれたが、近年は死者を偲び、その志を継承する事を誓う会に展開している。現代の死は八割が病院死で、ターミナルケアが求められている。そこでは末期患者にあるがままの現実に身を委ねることや、自己の霊性に目覚め、最後の生を個性的に充実させ、自分なりの死の設計をするように導いている。このケアは修行や巡礼の理想とされる自然法爾、如実知自身の悟りに通じるものである、現在は未亡人や未婚の女性の孤独な死が増加している。こうした中で身寄りのない老人が晩年を共に過ごし、共に葬られる共同墓が作られている。また葬儀を死者の意志に委ねる意識が芽生え、そのこともあって、散骨、樹木葬、宇宙葬や、個人の遺骨をペンダントなどに加工して手元で供養するなどの新しい葬法や供養法があらわれている。

言及状況

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20歳以上の男女2000人を 対象に行われた2003年の調査では 霊魂の存在を信じる人が約2割、 ありうると思う人が約3.5割、 信じない人が約2割、 分からないと答えた人が約2.5割だそうです。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006271567 ということは死んだら意識は無になると思っている人は 2割以下ということなんですが、マイノリティーだからこそ ...

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こんな論文どうですか? 死者と生者の接点 : 民俗宗教の視点から(死者と生者の接点,<特集>第六十五回学術大会紀要)(宮家 準),2007 https://t.co/8J4ZJoNFXN

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