著者
池本 淳一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.21-39, 2007-06-30
被引用文献数
1

本論は日本におけるボクシング・サブカルチャーの考察を通じて,社会変動期に生きる若者のアイデンティティ構築のための実践や戦略を描き出すものである.本論は3つのボクシングジムへの2年半にわたる参与観察と,そのメンバー38名へのインタビューに基づいている.<br>本論は以下の章から成り立つ.<br>1) 入会.この章では,初めにステレオタイプ化された「ハングリー・ファイター」のイメージを否定し,続いてジムとメディア,コミュニティ,そして他のプロフェッショナル・スポーツとの関係を明らかにする.<br>2) ジム通い.この章では,初めにジム会員に共通する性格,生活,そして生活上の問題を明らかにする.続いて,会員たちの規律的で勤勉なエートスに適合するジムのサブカルチャーを描く.<br>3) ジムでの日々.この章では,会員たちのプロボクサーとしての社会化,職業的アイデンティティ,そして肉体的および精神的成長を描いていく.<br>4) ジムを去る日.この章では,納得のいく引退条件を探ることを通して,ボクシングへの十分な「打ち込み」がメンバーに肯定的なアイデンティティを与えることを明らかにする.<br>最後に,日常生活以外の場を選択し,そこでの肯定的アイデンティティの構築を果した会員たちのサブカルチャー実践から,社会変動期における労働観・人生観の再考のためのヒントをさぐる.

言及状況

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