著者
下仲 順子 中里 克治
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.231-243, 2007-06-30

本研究は25〜84歳の地域住民(男187,女225)を対象にして,目的1)創造性の年齢差と性差要因を分析すること,目的2)創造性に影響を及ぼす要因を分析することを行った。創造性の測定はJ.P.Guilfordの指導の下に考案されたS-A創造性検査を用い,活動領域(応用力,生産力,空想力)と思考特性(流暢性,柔軟性,独創性,具体性)を測定した。目的1では教育年数を共変数として,5年齢群と性を要因とした共分散分析を行った。結果は,活動領域の応用力,生産力と思考特性の流暢性と独創性では年齢差はなかった。性差は生産力と流暢性で女性が男性よりも有意に得点が高かった。結果より,創造性の量的側面は加齢と共に低下するが,質的側面は成人期中維持され,創造性の成熟が示唆された。また,性差は創造性に余り影響しないことが結論された。目的2では,活動領域と思考特性に共通して開放性と実際的問題解決能力が寄与し,人格と日常生活上の経験によって育まれてゆく解決能力が創造性の基礎となっていた。自尊感情,病気の有無,社会的問題解決能力は創造性の種々の側面に異なって寄与することが示された。

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