著者
成田 健一 下仲 順子 中里 克治 河合 千恵子 佐藤 眞一 長田 由紀子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.306-314, 1995-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
34
被引用文献数
61 51

The purpose of this study was to examine the reliability and validity of a self-efficacy scale (SES: Sherer et al., 1982) using a Japanese community sample. The SES comprised 23 items measuring generalized self-efficacy. The SES and other measures were administered to a total of 1524 males and females whose ages ranged from 13 to 92. Exploratory factor analyses were conducted separately for sex and age groups and the factor structures obtained from these were compared. The results revealed a clear one-factor solution for the sample as a whole. A similar one-factor structure was obtained across sex and age groups. The SES was found to have satisfactory test-retest reliability and internal consistency. The correlations of the scores on the SES with other measures, such as depression, self-esteem, masculinity, and perceived health, provided some supports of construct validity. Some evidences of the construct and factorial validity of the SES in the Japanese community sample were found.
著者
成田 健一 下仲 順子 中里 克治 河合 千恵子 佐藤 眞一 長田 由紀子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.306-314, 1995-09-30
被引用文献数
22

The purpose of this study was to examine the reliability and validity of a self-efficacy scale (SES : Sherer et al., 1982) using a Japanese community sample. The SES comprised 23 items measuring generalized self-efficacy. The SES and other measures were administered to a total of 1524 males and females whose ages ranged from 13 to 92. Exploratory factor analyses were conducted separately for sex and age groups and the factor structures obtained from these were compared. The results revealed a clear one-factor solution for the sample as a whole. A similar one-factor structure was obtained across sex and age groups. The SES was found to have satisfactory test-retest reliability and internal consistency. The correlations of the scores on the SES with other measures, such as depression, self-esteem, masculinity, and perceived health, provided some supports of construct validity. Some evidences of the construct and factorial validity of the SES in the Japanese community sample were found.
著者
下仲 順子 中里 克治 権藤 恭之 高山 緑
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.138-147, 1998-03-31 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
25 27

本研究の目的は日本版NEO-PI-R作成とその因子的妥当性の検討である.NEO-PI-Rは人格の5因子モデルに基づく人格テストで, 青年から老人までを含む幅広い年齢層に適用するよう作られ, 元はCosta &amp McCrae (1985, 1992b) により公刊されたものである.NEO-PI-Rをバックトランスレーションをふくむ何回かの予備的検討を経て日本版を作成した.次に本テストを学生245名と老人232名からなる対象者に施行した.Cronbachのα係数, 探索的因子分析, プロクラステス法による確認的因子分析から, 本テストが十分な信頼性と妥当性を持つことが示された.結果は比較文化的文脈からも考察された.
著者
佐藤 眞一 下仲 順子 中里 克治 河合 千恵子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.88-97, 1997-07-30
被引用文献数
3

年齢アイデンティティのコホート差, 性差, およびその規定要因を生涯発達の視点からとらえるために, 8-92歳の一般住民女性1,026名, 男性816名の合計1,842名を対象に調査を実施した。年齢アイデンティティの指標として, 感覚年齢(実感年齢, 外見年齢, 希望年齢の3種類)および理想年齢の4種類の主観年齢を測定した。主観年齢の暦年齢からの偏差を年齢コホートの変化過程に沿って検討すると, 主観年齢が自己高年視から自己若年視へと転じる現象のあることが明らかとなった。男性ではその転換が青年期(18一24歳)前後でみられたのに対して, 女性では思春期G3-17歳)前後に生じていた。また, 感覚年齢では, 男性が成人前期(25-34歳)から成人中期(35-44歳)で変化が少なく, 女性では青年期から成人前期(25-34歳)にかけての変化が少なかった。理想年齢では, 男女とも青年期以降変化が少なくなる傾向にあったが, 男性の場合には成人後期(45-54歳)から, 女性では初老期(55-64歳)から再び変化が大きくなった。年齢アイデンティティの規定要因を検討したところ, 教育年数, 健康度, 自尊感情, タイプA, 女性性に何らかの有意な効果がみられたが, いずれの主観年齢においても暦年齢の効果が最大であった。このことから, 年齢アイデンティティあるいは主観年齢に対しては, 社会的な要因ばかりでなく加齢に伴う心理学的時間感覚ないし時間評価も同時に影響していると思われた。
著者
下仲 順子 中里 克治
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.231-243, 2007-06-30

本研究は25〜84歳の地域住民(男187,女225)を対象にして,目的1)創造性の年齢差と性差要因を分析すること,目的2)創造性に影響を及ぼす要因を分析することを行った。創造性の測定はJ.P.Guilfordの指導の下に考案されたS-A創造性検査を用い,活動領域(応用力,生産力,空想力)と思考特性(流暢性,柔軟性,独創性,具体性)を測定した。目的1では教育年数を共変数として,5年齢群と性を要因とした共分散分析を行った。結果は,活動領域の応用力,生産力と思考特性の流暢性と独創性では年齢差はなかった。性差は生産力と流暢性で女性が男性よりも有意に得点が高かった。結果より,創造性の量的側面は加齢と共に低下するが,質的側面は成人期中維持され,創造性の成熟が示唆された。また,性差は創造性に余り影響しないことが結論された。目的2では,活動領域と思考特性に共通して開放性と実際的問題解決能力が寄与し,人格と日常生活上の経験によって育まれてゆく解決能力が創造性の基礎となっていた。自尊感情,病気の有無,社会的問題解決能力は創造性の種々の側面に異なって寄与することが示された。
著者
高山 緑 下仲 順子 中里 克治 権藤 恭之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.22-35, 2000-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
4

本研究ではBaltesらの知恵の測定法の日本語版を作成し, その信頼性と妥当性の検討を行った.知恵は知恵に関わる5つの知識(宣言的知識, 手続き的知識, 文脈理解, 価値相対性の理解, 不確実性の理解)から評定し, 総合得点を知恵とした.課題には人生計画課題(様々な人生場面における仕事と家庭との葛藤を解決する)と人生回顧課題(架空の人物の人生を回顧する)を用いた.成人・高齢者197名(60-86歳)を対象に調査を実施し, 信頼性と基準関連妥当性の検討を行ったところ, 以下の結果が得られた.1)信頼性に関して, 人生計画, 人生回顧課題ともに高い評定者間信頼性が得られた.2)理論モデルから予想されたように, 知恵に関わる知識間には中程度以上の相関関係が示された.3)知能, 日常的知能, 教育年数を外部基準とした基準関連妥当性の検討からは, 人生計画場面において十分な妥当性が示された.4)人生回顧場面でも妥当性を示す根拠がいくつか示された.
著者
下仲 順子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.303-309, 1980-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は, 文章完成テストに投映された老年群と青年の自己認知概念を中心にした心理特徴面を比較することにより, 老年期の自己概念の諸特徴を世代差, 性差の観点から追求することを目的として行われた。対象者は, 青年群は私立大学生男112, 女112, 計224 名である (年齢範囲18~25才)。老年群は居宅老人男110, 女89, 計199名である (年齢範囲69~71才)。社会経済条件は両群共平均かそれ以上に属している。結果: 家庭イメージでは, 両群共約半数の者は肯定的表現をしているが否定的反応では青年群の方が多く, 中立的客観的反応では老年群の方が多い。友人イメージにおいて, 肯定的反応は青年群女に多い。老年群では肯定反応とほぼ同率で客観的反応がなされておりそれは老人女に多い。体イメージでは, 青年女子が健康等の肯定反応が多く, 老年群では否定的な表明は老人女性に多い。加齢イメージにおいては性差, 世代差は示されなかった。過去および現在の自己イメージでは青年群に否定的自己記述が多く示された。だが未来の自己イメージでは, 老年群は肯定および否定反応に集中しているが, 青年群は過半数の者が肯定的な未来志向を示していた。生と死イメージは, 老年群のみに性差が示され, とくに女性老人の否定的表明が特徴的であった。次に生きる喜びを老年群は家族との交流や自己の健康面に求めているが青年群は物事の達成による充実感覚に喜びを求めている。また青年群は自分の人生に対して肯定的表明を示しているのに比し老年群は客観的記述が多い。以上の両群の諸特徴は世代差, 性差の観点から考察された。すなわち世代的差違として青年群に示された心理特徴面は, 成人として自我を確立してゆく過程の中で, 種々の観点からの自己省察の機制が反映していると解釈された。これに対し老年群の肯定した自己の受け入れ等の特徴は, 自我の統合性の段階を反映していると推定される反面, 自己の未来に対して冷静, 否定的であるといった面や家族という縮少した世界の中で安定しているという面は日本の老年期特有の心的特性が表明されていると考察された。
著者
下仲 順子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.303-309, 1980-12-30

本研究は,文章完成テストに投映された老年群と青年の自己認知概念を中心にした心理特徴面を比較することにより,老年期の自己概念の諸特徴を世代差,性差の観点から追求することを目的として行われた。 対象者は,青年群は私立大学生男112,女112,計224名である(年齢範囲18∼25才)。老年群は居宅老人男110,女89,計199名である(年齢範囲69∼71才)。社会経済条件は両群共平均かそれ以上に属している。 結果:家庭イメージでは,両群共約半数の者は肯定的表現をしているが否定的反応では青年群の方が多く,中立的客観的反応では老年群の方が多い。友人イメージにおいて,肯定的反応は青年群女に多い。老年群では肯定反応とほぼ同率で客観的反応がなされておりそれは老人女に多い。体イメージでは,青年女子が健康等の肯定反応が多く,老年群では否定的な表明は老人女性に多い。加齢イメージにおいては性差,世代差は示されなかった。 過去および現在の自己イメージでは青年群に否定的自己記述が多く示された。だが未来の自己イメージでは,老年群は肯定および否定反応に集中しているが,青年群は過半数の者が肯定的な未来志向を示していた。 生と死イメージは,老年群のみに性差が示され,とくに女性老人の否定的表明が特徴的であった。次に生きる喜びを老年群は家族との交流や自己の健康面に求めているが青年群は物事の達成による充実感覚に喜びを求めている。また青年群は自分の人生に対して肯定的表明を示しているのに比し老年群は客観的記述が多い。 以上の両群の諸特徴は世代差,性差の観点から考察された。すなわち世代的差違として青年群に示された心理特徴面は,成人として自我を確立してゆく過程の中で,種々の観点からの自己省察の機制が反映していると解釈された。これに対し老年群の肯定した自己の受け入れ等の特徴は,自我の統合性の段階を反映していると推定される反面,自己の未来に対して冷静,否定的であるといった面や家族という縮少した世界の中で安定しているという面は日本の老年期特有の心的特性が表明されていると考察された。 次に両群で示された性差特徴としては,青年群で友人イメージ,自己の体イメージ等においてのみ性差が示され,それは青年女子に肯定的表明が多かった。これらは若さに対する社会的評価および男女の性役割の違いが影響していると推察された。一方老年群の性差は女性老人に特徴的であり,家族という枠組みの中で,内面的には未来への不安感を抱きつつ消極的安定をしているという特徴が示された。