著者
高井 一輝 河口 信夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.2328-2339, 2007-07-15
参考文献数
15
被引用文献数
4

近年,コミュニティの形成にはSNS の利用が拡大しつつある.しかし,既存のSNS の多くは,多様なコミュニティや人間関係をシステム上にうまく反映できない.また,ファイルを用いた情報共有までは考慮されておらず,CMS などを併用するのが一般的である.本研究では,多様な人間関係を反映可能なアカデミック・コミュニティ・システム(ACS)を提案する.ACS では,情報発信者による各種コンテンツに対する細かなアクセス制御を行うために,情報発信者が自分の友人を自由にグループ化でき,コンテンツごとに友人のグループを利用したアクセスコントロールが可能である.これにより,多様な人間関係をシステム上に反映できる.ACS ではさらに,コミュニティをまたいだファイルの共有や,システム外のユーザとのコミュニケーションも支援する.被験者を募集し,システムの評価実験を行ったところ,日記の投稿のうち13.2%でグループ化によるアクセスコントロールが行われた.また,グループ化によるアクセスコントロールができない場合に比べて,日記の投稿数が約15%増加した.実験後のアンケートでは,約75%の被験者が,これらの機能により教員や研究関係者を友人として登録する敷居が下がると回答した.これらより,グループ化によるアクセスコントロールによって,多様な人間関係をシステム上に反映可能であることが確認できた.Recently, SNS is popularly used to create communities and to communicate with others. However, current SNS can't be applied to various communities and human relations. ACS (Academic Community System) is a Social Networking System that is designed for communities such as universities which contain various human relationships. In this system, user can divide his/her friends into groups, and these groups are used to control access to contents. In addition, this system helps users to share and publish files such as research papers. We made an experiment to evaluate this system. In the experiment, rate of access control to diary posts are 13.2%. The number of posts of diaries has increased by about 15% compared with the case where the access control by the grouping cannot be done. Through the experiment and the evaluation, we confirmed the effectiveness of access control which is based on friend groups.

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