- 著者
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金井 明子
松原 宏
丹羽 清
- 出版者
- 研究・イノベーション学会
- 雑誌
- 研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.3, pp.294-306, 2007
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
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「地域」が新しい知識や技術を生み出す場として,近年注目を集めている。本研究は,地域が競争力を生み出す仕組みに学習という概念を適用した「学習地域(learning region)論」に注目し地域的な枠組みの発展を,「テーマの共有」という要素を加えることでさらに大きくできる可能性を提示する。まず,日本でも有数の産業集積地域である東大阪地域の製造業企業へのアンケート調査を通して「テーマ共有」が,従来研究が明らかにしてきた学習地域の4つの要素と同等に影響力を持つことを明らかにした。次いで同地域における人工衛星プロジェクトのケーススタディにおいて,インタビュー調査を行った結果,テーマの共有が「役割分担の明確化」「参加機会の確保と参加者の淘汰」「モチベーションの向上」という3点で実際の仕事を進める上で有効であることが分かった。さらに共通テーマを掲げたこのプロジェクトによる「地域の知名度の向上」「地域への信頼性の向上」という2つの効果が示唆された。本研究は,従来の学習地域にはない「テーマ共有」という要素を備えた新たな学習地域の一形態の重要性を示した。