- 著者
-
岡田 啓
- 出版者
- 関西外国語大学
- 雑誌
- 研究論集 (ISSN:03881067)
- 巻号頁・発行日
- vol.86, pp.113-131, 2007-09
「学校に行く」の英訳はgo to school, leave for school, set off to school, get to school など何通りもある。脈絡によって,これらの中の最も適当なものが選択される。換言すれば,特定の脈絡を英語という言語でいかに切り取るのかをわきまえておかねば,正しい英語表現とはならない。上記のフレーズのうちどれを選ぶかはしばしば副詞との共起の中で決定される。その考慮をしない日本人の書く英語が不自然になる一大原因は正にここにある。例えば I go to school on week days. とは言えても,I go to school at 9 o'clock. はかなり曖昧な表現で,きちんとした正確な英語とは言い切れない。日常のカジュアルな表現としては,使用される状況より判断して「学校に向けて家を出るのが9時だ」と解釈できないことはない。しかし,英米のジャーナリスト・作家などは,大抵 I [left for / got to] school at 9 o'clock. のように,出発時を言うのか到着時を言うのかを指定している。この小論では,「学校に行く」という表現がいかなる副詞とどのような結び付きで用いられるのか,またそのとき,どのようなニュアンスで用いられているのかコーパスを用いて探り当て,具体例を挙げて用法を検証する。