- 著者
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小竹 佐知子
- 出版者
- 日本獣医生命科学大学
- 雑誌
- 日本獣医生命科学大学研究報告 (ISSN:03738361)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, pp.70-79, 2006-12-01
- 被引用文献数
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『アンネの日記 完全版』に記載された食品の種類と記載割合を調査した結果,総記載食品数は332品であった。これらの食品を食品群に分けた結果,記載割合の多かったのは穀類,イモ類,野菜類であり,いずれもそれぞれ11.7%を占めていた。イモ類は全てジャガイモであり,他の種類のイモは見られなかった。この3群の食品は,いずれも多量に摂取したい食品であったが,一方,隠れ家生活の期間(1942年〜1944年)のこれら3群の消費者物価指数はいずれも上昇しており,品質劣化や不足の様子を頻繁に書くことが記載割合を多くしていた要因と考えられる。肉類,乳類の1942年から1944年までの消費者物価指数は変動がなく,品質劣化や不足の記述はイモ類,野菜類に比べると少なかった。主要栄養への寄与が少ないし好品である菓子類,し好飲料の割合がいずれも9%以上を占めていたが,誕生日プレゼントとして,支援者から贈られるケースが多かった。