著者
牧野 ゆき
出版者
日本獣医生命科学大学
巻号頁・発行日
2104-05-23

2014年度
著者
羽山 伸一
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、2011年3月に東日本大震災に伴って爆発した福島第一原発から放出された放射性物質に被ばくした野生ニホンザルを対象に、筋肉中セシウム濃度を測定するとともに、臨床医学的検査および病理学的検査を行い、被ばくによる健康影響を明らかにする。2017年度は、福島市に生息するニホンザル95頭の死体を回収し、解剖分析および血液検査に供した。筋肉中放射性セシウム濃度は、ほとんどの個体で数十~数百Bq/kgを示し、2011年当時から徐々に低減しつつあるが、1000Bq/kgを超す個体も未だにいるため、高濃度に汚染した食物を摂取している可能性が示唆された。原発災害前後における胎仔の成長や形態的変化を明らかにする目的で、2008年から2016年に福島市で採取した胎仔の外部計測を行った。これまで原発災害があったチェルノブイリと福島のいずれでも、同一の野生動物個体群における胎仔の成長を経時的に調査して災害前後で比較した研究は見当たらず、本研究がはじめてとなる。原発災害前に妊娠した胎仔35個体と災害後に妊娠した個体32個体において、CRL(crown ramp length・頂臀長) に対する体重および頭部のサイズ(頭蓋の最大長径と最大横径の積)の相対成長を比較したところ、災害後の胎仔で体重と頭部のサイズのいずれも有意に低下していることが明らかとなった。頭部のサイズとCTスキャナーで計測した頭蓋容積は高い相関を示すことから、脳の発達が抑制されていることも予想された。これらの胎仔の母親の栄養指標に有意差は認められず、観察された発育遅滞は放射線被ばくの影響が示唆された。
著者
横須賀 誠
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

キンカチョウの鼻腔と嗅上皮の形態学的特性を解析した。また、行動観察でこのトリの餌好選性の有無、ニオイによる嫌悪学習試験の可能性を解析した。その結果、(a)他のスズメ目と同様に左右独立した1対の嗅神経束が存在し嗅球は左右区別のない単一嗅球であることが確認された。さらに (b)鼻腔の構造は単純である、(c)鼻腔の最後部に嗅上皮が存在する、(d)嗅上皮は嗅細胞、支持細胞、基底細胞で構成されている、(e)線毛と微絨毛を共存する嗅細胞が存在する、などを確認した。(f) ニオイ情報による嫌悪学習試験の成立は確認出来なかった。本研究によって、キンカチョウの嗅覚系の形態学的基盤を明らかにすることが出来た。
著者
柿沼 美紀 濱野 佐代子 畠山 仁 安藤 由香 土田 あさみ
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
日本獣医生命科学大学研究報告 (ISSN:03738361)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.52-60, 2006-12-01

動物園などの飼育下にあるチンパンジーは定期的に観察できるため,子育てに関する詳細の研究が可能になる。飼育下チンパンジーの子育てスタイルの比較は,母がその継承に及ぼす影響を考える上で重要である。本研究では多摩動物公園で子育てをしている一組の母(パイン)と娘(チェリー)及びその他の母親のスタイルを比較検討した。最初に母親を含んだ3組の3ヶ月-18ヶ月の子育てスタイルと子どもの発達を比較した。その結果,母親の状況により子育てスタイルに違いが見られ,子どもの発達にも違いがみられた。次にその子育てを身近で観察してきた娘の子育てスタイルを比較した。その結果,娘のスタイルは母親と似ている部分,その他の個体と似ている部分など,複数の要因によって形成されることが伺えた。母と娘の間の子育てスタイルの継承について考察した。継承のメカニズムを明らかにすることは,飼育下チンパンジーの育児放棄対策にも有用である。
著者
吉田 充
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
日本獣医生命科学大学研究報告 (ISSN:18827314)
巻号頁・発行日
no.62, pp.8-16, 2013-12

2002年に高温加熱加工・調理食品中にアクリルアミドの存在が確認されて以来,食品におけるアクリルアミドの生成,様々な食品中の濃度,食品からの摂取量推定に関する研究・調査が進められてきた。日本においても,トータルダイエットスタディに加えて,日本やアジア特有の食品を含めた市販加工品や,炊飯米を含めた調理食品の分析が行われた。アクリルアミドの毒性と摂取量とをあわせて考えると,食品中のアクリルアミドの人の健康に対するリスクは無視できず,低減の努力が必要と考えられる。そこで,食品規格に関する政府間機関Codexでも,2009年にじゃがいも加工品と穀物加工品に関するアクリルアミド低減のための実施規範が採択された。食品におけるアクリルアミドの生成抑制や,食品中のアクリルアミドのリスク管理のためには,簡易迅速な分析方法の確立が望まれていたところ,2011年にアクリルアミドのEIA検出キットが開発された。また,アクリルアミドの分析の精度管理に関しては,加熱食品をマトリクスとした標準物質や分析の技能試験も供給されており,利用しやすい状況になっている。
著者
松木 洋一
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
日本獣医生命科学大学研究報告 (ISSN:18827314)
巻号頁・発行日
no.60, pp.79-98, 2011-12

家族農業経営は日本のみならず世界的に支配的な農業企業形態である。しかしながら,この中核的な農業の担い手組織が,*世紀後半から崩落的な減少を辿っており,農地の耕作放棄のみならず農村社会の崩壊の直接的な原因となっている。家族経営では,従事者の高齢化と後継者不足の進行が強まっており,血縁や結婚縁による協業の維持がますます困難になっている。そのために家族員間の経済的及び法律的な契約関係について様々な改善がとりくまれ,従来の伝統的な農家概念とは異なる多様な企業形態の農場が形成されている。特に家族員間のパートナーシップ契約(共同経営契約)が結ばれることによって世帯主の家父長的な所有と管理から解放され,対等な共同経営者として妻や子が経営参加する経営組織が形成されてきているのである。また,所有と経営,労働が分離して,世帯主が社長でそれ以外の家族は労働者として雇用される会社組織も形成されている。家族農業経営体の企業形態の転換を規定するのは家族の生産関係であるが,その形態転換を規定する内容には,経営手段の所有と利用関係,労働における雇用および管理と分業協業関係,利益の分配関係,資産の継承関係などがある。企業形態Type of Enterprise,Type of Business Organization,Business Formとは,経営体における所有・経営・協業労働の分化と結合の状態および発展段階によって類型化する経済的組織形態と各企業間の統合の状態をあらわす企業集中形態がある。また,個別の企業が設立や運営について法律によって規制されることによる法律的形態Legal Formとしての企業形態がある。経済的形態と法律的形態とは同一の企業の内実と形式の関係にある。農場の企業形態にはインテグレーションによる企業集中形態も重要であるが,ここでは個別の農場の経済的組織形態および法律的形態によって企業形態の類型的把握を行った。
著者
小竹 佐知子
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
日本獣医畜産大学研究報告 (ISSN:03738361)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.19-39, 2004-12-01
被引用文献数
1

『アンネの日記完全版』に記載された食物関連事項の内容から,隠れ家生活における食糧事情を検討した。日記は4.3日に1回の割合で書かれており,そのうちの64%の日に食物関連事項が認められた。2年1ケ月に及ぶ隠れ家生活での食糧事情は,前期・平穏期,中期・悪化期,後期・困苦期の3期に分けられた。隠れ家生活開始直後の平穏期は,充分な貯蔵食糧の存在と比較的容易な食糧調達により,不自由な中にも新しく始まった"隠れ家"生活での食事を楽しむ余裕があった。悪化期は,品薄,品質劣化が目立つようになり,隠れ家での閉塞的な生活による精神的疲労も加味された時期であった。最後の困苦期は,少ない食糧の配分で隠れ家内のメンバー間のいさかいが頻発し,食事を抜く節約法をとらざるを得ない状況であった。隠れ家生活を支援していた人たちの逮捕も,食糧調達を危うくし,隠れ家内のメンバーヘのストレスは大きかった。
著者
宍戸 真
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
日本獣医畜産大学研究報告 (ISSN:03738361)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.52-62, 2005-12-01

2004年11月15目,米国の人気ラッパーEMINEMの第4作目のCDが発売された。その中に収録されているMockingbirdという曲は,彼が愛娘に送ったメッセージであることが読み取れるが,その内容は現代米国社会におけるさまざまな社会問題を反映したものである。この論文では,Mockingbirdの歌詞の中に見られる現代アメリカの社会問題について考察する。
著者
羽山 伸一
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

福島市の野生ニホンザルにおける放射性セシウム濃度を測定し、その経時的変化や季節変化を明らかにした。セシウムは、2011年4月に25,000Bq/kgと高濃度を示した後、同年6月には1,000Bq/kg程度にまでいったん減衰したが、冬季に2,000 から3,000 Bq/kgに達する個体が見られた。こうした冬季にセシウム濃度が上昇する現象は、これ以降も本研究最終年度である2015年度まで毎年観測された。また、サルの繁殖パラメータへの被ばく影響を明らかにするため、妊娠率を2008年度から継続して推定した。その結果、50%程度であった妊娠率が、2014年度(2015年出産)には20%に低下していた。
著者
柿沼 美紀 畠山 仁 土田 あさみ 上村 佳世子
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
日本獣医生命科学大学研究報告 (ISSN:03738361)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.28-35, 2007-12

飼育下チンパンジーの出産,子育て状況をGreat Ape Information Network(GAIN)データベースをもとに分析した。これまで,飼育下チンパンジーの育児放棄,子育て困難の原因として,早期に母子分離を経験し,社会的隔離状態に置かれたことが指摘されてきた。しかし,今回の分析から,母子分離も社会的隔離も経験していない個体においても同様に子育てが困難であることが見られた。野生のチンパンジーに比べ出産間隔が短く,結果として授乳期が短い事例も見られた。多摩動物公園の事例では,子育て行動は見られるものの,母乳の分泌不足が原因で人工哺育に至る場合もあった。今後は繁殖の候補の選択にあたっては,母子分離の時期,飼育環境,出産歴といったプロフィールに加え,母乳の分泌に関する生理学的な検証を含んだシステムの構築が求められる。
著者
板橋 久雄 撫 年浩 木村 信熙
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

牛用飼料のマイコトキシンがルーメン発酵に及ぼす影響とプロバイオテックスなどによるその制御について培養実験により検討した。添加したデオキシニバレノール(DON)またはゼアラレノン(ZEN)はルーメン内の揮発性脂肪酸(VFA)濃度などを低下させ、ルーメン発酵を抑制したが、その影響はZENの方がDONよりも大きかった。DONとZENの一部はルーメン微生物により代謝され、培養20時間では約50%が分解された。この分解には、ルーメン細菌よりもプロトゾアの方が大きく関わっていた。二糖類や酵母などの生菌剤はDONとZENの分解を促進することが明らかとなり、畜産現場で実用可能なことが示された。