著者
下田 正弘
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.283-308, 2007-09-30

神仏習合の裏面の問いとしての神仏分離には、近世から近代にかけて中央集権国家を構築した日本の歴史全体が反映する。仏教の迫害と変容の基点となった明治維新をとりまく暈繝には、権力支配の構造の変容と諸知識体系化の歴史が重なりあう。経世済民の思想、国学の進展、一国史編纂の企図は一体化して明治国家の理念を形成し、仏教を非神話化しながらあらたな神話を完成する。この構造全体を読み解いて未来をみすえるとき、生活世界に基礎をおく解釈学としての仏教学の構築が強く望まれる。

言及状況

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『近年の仏教批判は……正統と異端を創出し、虚偽を暴いて糾してゆくという論調にみち……神仏分離や廃仏棄釈をなすものたちと驚くほどに親和的』そういう論調もかつて必要だったし、今またこういう批判も必要かな

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