- 著者
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新矢 昌昭
- 出版者
- 佛教大学大学院
- 雑誌
- 仏教大学大学院紀要 (ISSN:13442422)
- 巻号頁・発行日
- no.28, pp.165-180, 2000-03
「経済的個人主義」「宗教的個人主義」を二つの柱とする近代個人主義は,近代化によって非西洋の社会にもたらされることになった。しかし,その場合の多くは,経済的個人主義という自己充足的な個人であり,宗教的個人主義の非西洋社会での確立は非常に困難をともなうものであった。その困難を体言している人物の一人として夏目漱石を取り上げてみる。彼は,自己の「個人主義」を「淋しい」ものとして位置付けている。この「淋しさ」を論及することによって,非西洋社会における個人主義の確立の困難さを示せると思われる。夏目漱石個人主義「淋しさ」「自然」