著者
青木 京子
出版者
佛教大学大学院
雑誌
仏教大学大学院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
no.29, pp.41-51, 2001-03

「魚服記」の素材は、伝説「甲賀三郎」も重要な役割を果たしている。まず、「魚服記」には〈蛇〉の表記が四回も認められ、滝や渕の主とされる〈水神〉との関わりは深い。この〈水神〉を辿っていくと、大森郁之助氏の指摘による「八郎大明神」が想起され、そこから「甲賀三郎」があぶり出される。この題名から、「三郎と八郎のきこりの兄弟」の〈三郎〉が踏襲されているように思われる。「甲賀三郎窟物語」には、〈諏訪〉という表記が見え、母と夫の伯父の〈不義密通〉が描出される。〈諏訪〉は主人公の呼称〈スワ〉に、〈不義密通〉は、〈スワ〉と父との〈近親相姦〉に踏襲されている可能性は強い。〈スワ〉が滝に飛び込むシーン等は、伝説「龍になった甲賀三郎」に借材しているように思われる。大蛇甲賀三郎諏訪甲賀三郎窟物語龍になった甲賀三郎(伝説)

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