- 著者
-
松田 智子
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 社会学部論集 (ISSN:09189424)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, pp.99-110, 2001-03-01
本稿の目的は,性別役割分業を基盤とする高齢夫婦の問題,特に高齢男性の配偶者への依存性に焦点をあて,その依存性を規定している要因を明らかにすることである。ロジスティック回帰分析の結果,配偶者への依存度が高い群と低い群を分けるのは,学歴,家事遂行度,夫婦愛意識の3変数であった。すなわち,高学歴の男性,家事遂行度の低い男性,夫婦愛意識が強い男性で配偶者に対する依存度が高くなっていた。これらの分析結果から,高齢男性の中でも特に高学歴層に配偶者への依存度が強いこと,高齢男性の配偶者に対する依存性を軽減するためには,男性の家事分担の促進,夫婦愛にとらわれない意識が重要であることが明らかとなった。