- 著者
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実積 麻美
大谷 愛佳
山崎 愛沙
山下 恵
和田 亜弓
谷脇 文子
- 出版者
- 日本母性衛生学会
- 雑誌
- 母性衛生 (ISSN:03881512)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.4, pp.542-550, 2008-01
本研究は実母からの出産体験の伝承(実母が経験した妊娠・出産・育児の体験や,その体験によって感じた思いを実母自身の言葉で表現し,娘に語り伝えること)に対する妊婦の意味づけを明らかにすることを目的とした。妊娠中期・後期の初産婦6名に半構成的面接法によりデータを収集し,質的帰納的に分析を行った。その結果,実母からの出産体験の伝承に対する妊婦の意味づけとして,次の5つの特徴,『母への親密性を強める』『親になる偉大さを感じる』『親準備性に向かう』『次世代への伝承の必要性を感じる』『自己成長のきっかけとなる』が見出された。そして,実母の出産体験の伝承が妊婦の自律性の育成を培い,母性意識の発達を促し,主体的な親になる準備性を支えていることが明らかとなった。本研究における看護への示唆として,伝承により意味づけられた妊婦の主体性をより促進する援助の重要性が見出された。伝承を看護の中に位置づけることで,妊婦の主体性を促進し,妊婦が目指す出産体験を尊重するような援助につなげていく必要がある。