著者
山下 恵太郎
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.118-124, 2022-05-31 (Released:2022-06-01)
参考文献数
15

Atomic model refinement and map calculation methods for cryo-EM single particle analysis(SPA)are explained in relation to X-ray crystallography. To make the best use of high-resolution reconstructions from SPA, it is important to calculate interpretable density maps to help build atomic models, and to use all experimental information to refine models. We developed a new program Servalcat to facilitate the structure refinement in reciprocal space. Servalcat performs structure refinement using REFMAC5, followed by calculation of weighted and sharpened Fo and Fo-Fc maps, which are useful in manual model rebuilding.
著者
実積 麻美 大谷 愛佳 山崎 愛沙 山下 恵 和田 亜弓 谷脇 文子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.542-550, 2008-01

本研究は実母からの出産体験の伝承(実母が経験した妊娠・出産・育児の体験や,その体験によって感じた思いを実母自身の言葉で表現し,娘に語り伝えること)に対する妊婦の意味づけを明らかにすることを目的とした。妊娠中期・後期の初産婦6名に半構成的面接法によりデータを収集し,質的帰納的に分析を行った。その結果,実母からの出産体験の伝承に対する妊婦の意味づけとして,次の5つの特徴,『母への親密性を強める』『親になる偉大さを感じる』『親準備性に向かう』『次世代への伝承の必要性を感じる』『自己成長のきっかけとなる』が見出された。そして,実母の出産体験の伝承が妊婦の自律性の育成を培い,母性意識の発達を促し,主体的な親になる準備性を支えていることが明らかとなった。本研究における看護への示唆として,伝承により意味づけられた妊婦の主体性をより促進する援助の重要性が見出された。伝承を看護の中に位置づけることで,妊婦の主体性を促進し,妊婦が目指す出産体験を尊重するような援助につなげていく必要がある。
著者
佐塚 泰之 山下 恵代 岸本 修一 福島 昭二 竹内 由和 園部 尚
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.11, pp.995-999, 2002-11-01 (Released:2003-02-18)
参考文献数
14
被引用文献数
6 8

We have confirmed that theanine, a major amino acid in green tea, enhances the antitumor activity of doxorubicin (DOX) without an increase in DOX-induced side effects. We believe that the action of theanine is due to decreases in glutamate uptake via inhibition of the glutamate transporter, intracellular glutathione (GSH) synthesis, GS-DOX conjugate level, and subsequent extracellular transport of GS-DOX by the MRP5/GS-X pump. To increase the clinical usefulness of theanine, we examined its effects on the antitumor activity of cisplatin and irinotecan (CPT-11), which a known to be transported by the efflux system related to MRP. Cisplatin decreased tumor volume in M5076 tumor-bearing mice. Furthermore, the combination of theanine with cisplatin increased the decrease in tumor volume as compared with the cisplatin-alone group. Tumor volume in the CPT-11-alone group did not show a decrease, but the combination of theanine with CPT-11 significantly reduced tumor volume. The concentration of cisplatin in the tumor was significantly increased by combination with theanine, and thus we assume that it correlated with the enhancement on the antitumor activity of theanine. On the other hand, changes in drug concentrations with theanine were not observed in normal tissues, but rather it is indicated that theanine tends to reduce their concentrations. Therefore theanine enhances the antitumor activity not only of DOX but also of cisplatin or CPT-11.
著者
武政 葉子 大村 健二 長岡 亜由美 有路 亜由美 板橋 弘明 山口 賢一郎 山下 恵 富田 文貞 山野井 貴彦 中熊 尊士 德永 惠子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.1348-1352, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1

【対象と方法】75歳以上の肺炎で医療・介護関連肺炎症例と、誤嚥性肺炎の既往または、摂食嚥下障害を疑う情報を有する症例を除く56例を対象とした。退院時に嚥下障害が残存した群(14例)と残存しなかった群(42例)を比較した。【結果】残存群は非残存群より有意に絶食食数が多かった。両群間で言語聴覚士(speech therapist;以下、STと略)の介入時期に差はなかった。理学療法の開始時期は非残存群で有意に早く、理学療法士(physical therapist;PT)介入時のBarthel Index(以下、BIと略)は残存群で有意に低値であった。退院時のBIは両群で理学療法開始時と比較して有意に増加し、両群間にあったBIの差は消失した。【結論】高齢者肺炎の治療中に発生する嚥下障害には絶食の関与が考えられた。また、理学療法開始の遅延が嚥下障害の発生と遷延に関与していると考えられた。さらに、このような嚥下障害は理学療法のみでは改善しないと考えられた。高齢者肺炎の診療では、STによる早期の嚥下機能評価、適切な栄養管理、早期に開始する理学療法が必要である。
著者
氷見 徹夫 高野 賢一 山下 恵司 小笠原 徳子 正木 智之 小幡 和史 堤 裕幸 小島 隆 一宮 慎吾 澤田 典均 横田 伸一
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.239-244, 2013 (Released:2014-03-20)
参考文献数
7

粘膜防御機構は自然免疫の最前線であり,上皮細胞に加えて免疫系細胞などを含む複合的なシステムで構築されている。耳鼻咽喉科領域では扁桃・アデノイドに代表される粘膜関連リンパ装置は,その抗原捕捉機構を駆使して,免疫記憶の形成と特異的抗体産生機構に関与している。一方,上気道の最前線である鼻粘膜もまた抗原捕捉に伴う免疫反応を行っているとともに,ウイルス・細菌感染やアレルギー炎症の場としても重要である。われわれは,扁桃やアデノイド,そして鼻粘膜の上皮についての研究を行い,機械的バリアを含む自然免疫の新しい概念を提唱してきた。ここでは,われわれの研究より得られた知見をもとに,扁桃,鼻粘膜の基本的な免疫臓器としての機能解析と,それぞれの類似性・相違性,自然免疫・獲得免疫での位置づけについて言及する。
著者
氷見 徹夫 高野 賢一 亀倉 隆太 坪松 ちえ子 阿部 亜由美 山下 恵司
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.19-24, 2016-03-31 (Released:2016-06-23)
参考文献数
11

唾液腺腫脹を伴う疾患は日常的に遭遇する疾患から非常にまれな疾患まで多彩である. 鑑別診断を容易にするため, 一側性と両側性腫脹を示す疾患の概略を述べ, 次に, 両側性腫脹を示すいわゆる非腫瘍性のミクリッツ症候群を示す疾患と IgG4 関連疾患であるミクリッツ病とキュットナー腫瘍についての最新の知見を紹介した. 感染性疾患では HIV 関連唾液腺疾患についても言及した. 唾液腺腫脹を示す非腫瘍性疾患は原因不明あるいは病態も明らかになっていない疾患が多いため, 歴史的変遷も含め最近の考え方を解説した.
著者
山下 恵子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.699-700, 1975-08-25

東京女子医科大学学会第197回例会 昭和50年5月22日 東京女子医科大学本部講堂
著者
岡林 輝親 山下 恵美 谷岡 真央 田所 彩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1910, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】脳卒中治療ガイドライン2009では,脳卒中のリハビリテーションにおいて患者の機能的予後等を予測すること,またStroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)は総合評価尺度として用いることが勧められている。回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟において理学療法士は,患者の機能・能力的予後,特に退院時歩行能力を予測し,退院へ向けて早期からのマネジメントが要求される。そこで,SIASを用いてカットオフ値を算出し,回リハ病棟へ入棟された患者様の歩行自立度の予測に活用することを目的とする。【方法】対象は,2012年8月から2014年10月まで当院回リハ病棟に入院されていた脳卒中患者(くも膜下出血を除く)79名(年齢:77.1±10.1歳,男性42名,女性37名,脳出血15名,脳梗塞64名)。除外項目は,病前の歩行能力が自立及び修正自立でない者,発症から2週間以内に退院した者,SIASが評価不能だった者とした。評価はSIASを用い,SIAS総点,SIAS-L/E(運動機能-下肢),SIAS-Trunk(体幹機能),SIAS-S(感覚機能)の項目に分類し,回リハ病棟入棟後1週間以内に評価した。歩行自立度は退院時歩行能力が完全自立もしくは補装具を用いた修正自立者を「自立群」,その他の見守りや身体的介助を要する者を「非自立群」として分類した。統計は,有意差の判定のためSIAS各項目の自立・非自立各群に対してWilcoxon符号付順位和検定を実施した後,歩行自立度とSIAS各項目のカットオフ値の算定を,Receiver Operating Characteristic曲線(以下ROC曲線)にて実施した。統計ソフトは,EZR(Saitama Medical Center,Jichi Medical University)を使用した。【結果】SIAS各項目の自立・非自立各群の間に有意差を認めた(P<0.01)。さらにROC曲線によるSIASカットオフ値を算出した結果,Area Under the Curve(以下AUC)はそれぞれ,入棟時SIAS総点で0.82,SIAS-L/Eで0.77,SIAS-Trunkで0.75,SIAS-Sで0.83となった。算出されたカットオフ値は,SIAS総点で59点(感度0.833,特異度0.744),SIAS-L/Eで9点(感度0.917,特異度0.558),SIAS-Trunkで3点(感度0.972,特異度0.512),SIAS-Sで9点(感度0.722,特異度0.767)となった。【考察】結果より,回リハ病棟退院時の歩行自立・非自立を予測するためのカットオフ値は,初期評価時のSIAS総点で59点,SIAS-L/Eで9点,SIAS-Trunkで3点,SIAS-Sで9点であることが示唆された。SIAS総点やSIAS-Sで運動機能項目より高いAUCを得たことは,歩行能力には機能回復により変動する運動機能よりも,感覚機能やその他の諸因子が残存しているか否かに依拠していると考えられ,歩行予後を推察する際にはSIASのような多面的評価を用いて要因を検討していく必要性があると考えられる。今後は高次脳機能障害や嚥下障害なども考慮し,予測精度の向上に努めたい。【理学療法学研究としての意義】回復期脳卒中患者様の歩行予後予測の一助として,ゴール設定,自宅復帰の可否予測などの判断材料として活用し,早期から退院時の患者様の移動様式を予測した包括的なアプローチを実施することに寄与するものと考えられる。
著者
山下 恵理 熊谷 修 青木 清
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.2-7, 2015 (Released:2015-03-29)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

【目的】青年期において,食生活と精神的健康度の関係を示した疫学データは十分でない。本研究では,大学生の食品摂取パタンを抽出し,精神的健康度との関係を明らかにする。【方法】大学生男女計269人(男性80人,女性189人)を対象に食品群別摂取頻度調査,精神的健康度,生活習慣で構成した自記式質問紙による調査を実施した。食品摂取パタンは,食品群別摂取頻度調査を基に,因子分析を試行した。また,食品摂取パタンと精神的健康度との関係を明らかにするために重回帰分析を行った。【結果】因子分析の結果,食品摂取パタンとして「副食に植物性食品を高頻度に摂取するパタン」,「肉類,卵,油脂類,いも類を高頻度に摂取するパタン」,「主食の摂取パタン」が抽出された。重回帰分析の結果,「肉類,卵,油脂類,いも類を高頻度に摂取するパタン」とGHQの総合得点及びうつ傾向との間に有意な負の関係が認められた。【結論】大学生において,肉類,卵,油脂類,いも類を高頻度に摂取する食品摂取パタンを有する者は,うつ傾向が低いことが示された。