著者
戸田 須恵子
出版者
北海道教育大学
雑誌
釧路論集 : 北海道教育大学釧路分校研究報告 (ISSN:02878216)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.59-69, 2006

母親の養育態度と幼児の自己制御機能及び社会的行動との関係を検討することを目的に、幼稚園に通っている母親を対象に研究への協力を求め、176名(男児86名,女児90名)の母親から研究への参加協力を得た。質問紙は、幼稚園を通して母親に配布された。質問紙は50項目からなり、因子分析の結果、7因子が抽出された(受容/子ども中心主義、統制/専制的、一貫性のないしつけ、服従的、過保護、甘やかし、放任)。幼児の自己制御機能及び社会的行動に関しては、幼稚園の先生に評価してもらった。自己制御機能については、因子分析の結果、自己主張と自己抑制の2因子が抽出され、社会的行動については因子分析の結果、思いやり行動と攻撃的行動の2因子が抽出された。母親の養育態度と幼児の制御機能との関係では、自己主張と母親の養育態度、服従的、過保護、甘やかしに負の関係が認められた。又、思いやり行動と過保護と負の関係が認められた。さらに、幼児の制御機能や社会的行動に影響を及ぼす母親の養育態度について重回帰分析を行ったところ、幼児の自己主張にマイナスの影響を与えていたのは、母親の養育態度の中で、過保護と甘やかしであった。又、思いやり行動に影響を与えている養育態度は、過保護であった。これらの結果は、母親が幼児を育てる過程で、自己主張や思いやり行動を育てるには、過保護や甘やかしといった行き過ぎた母親の養育行動がマイナスの影響を及ぼしていることを示唆している。どのような育て方をすれば、幼児の自己主張や向社会的行動が育てられるのか、さらに継続して検討していくことが必要である。

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