著者
金 美伶
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.95-104, 2007

抑うつは,「心のカゼである」と言われるほど現代人に蔓延している.その身体的症状は,交感神経の緊張状態であるいわゆる「不安」とは異なる.不安と抑うつの差異は,不安の中核症状は,恐怖感,予期懸念,自律症状にあることに対して抑うつの中核は悲しみ,絶望感,喜びや興味の減退にある.抑うつ症状は,一般的に,激しい無価値感,不全感など,低い自己評価を含んだ感情を伴う.不安と抑うつともにネガティブな自己関連情報のアクセシビリティの亢進を示すのに対して,ポジティブな自己関連情報のアクセシビリティの低下は抑うつ者に限られる.本論文では,現代人の抑うつ発生と抑うつの評価に関する諸理論を考察する.抑うつ発生の諸理論を考察することにより抑うつの予防及び,日常生活からくるストレスへの対処に役に立つことを望んでいる.

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