著者
金城 道男 池田 啓 柳生 博 敷田 麻実
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
ワイルドライフ・フォーラム (ISSN:13418785)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.8-9, 2007-05-10

大宜味村の嘉如加という集落にある山は、四十年ほど前まではてっぺんまでが段々畑で、林は伐採され、奥に入っても炭焼き小屋があるなど、人間の手がかなり加えられていました。そこにはまさしく、柳生さんがお話しになっていた「里山」がありました。このような人里でも現代まで生き抜いてきたのが、「飛べない鳥・ヤンバルクイナ」です。ところがマングースなどが入ってくると、地上の雛も簡単に見つかってしまい、餌食になってしまう。もともと、やんばるの森には肉食獣が存在しないため、人間が持ち込んだマングースや捨てネコなどに、ヤンバルクイナは対処する力がありません。この状態を放置しておけば、ヤンバルクイナは絶滅してしまいます。ヤンバルクイナを守ることができれば、やんばるの森全体の生物が守れる、ともいわれています。対策として、マングースの侵入防止柵を設置し、ヤンバルクイナの保護のための救命センターを開設して活動しています。くやしいことにマングースの進出を食い止めることはできていません。とうとう人間の力でコントロールできないところまで来てしまいました。ヤンバルクイナの棲息区域は北上の一途を辿っており、これはマングースの進出規模と比例しています。現在の大宜味村では、ヤンバルクイナをめったに見ることがなくなりました。それでも、私には夢があります。名護の豊かな森でもヤンバルクイナが見られるようになることです。

言及状況

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こんな論文どうですか? 沖縄やんばるを舞台にして(鼎談,<特集>第12回沖縄大会in名護)(金城 道男ほか),2007 http://t.co/Mu6ORqFfzQ

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