1 0 0 0 IR 凝然と東大寺

著者
藤丸 要
出版者
龍谷大学龍谷紀要編集会
雑誌
竜谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.103-115, 2006-09

示観国師凝然(1240〜1321)は、鎌倉期に東大寺教学復興にあたった学僧として、また『八宗綱要』をはじめとする膨大な著述を遺したことで知られる。さらに、戒壇院長老として多方面の著述を為し、国師の称号まで承けている。このような凝然であるが、彼の東大寺における立場は非常に特殊なものであった。当時、僧侶として出世し、学僧として名を上げようとするならば、数多くの論義に参加することが最低条件であった。にも拘わらず、凝然は論義にまったく参加していないのである。論義に参加するには、仏教教学を専門に学ぶ学侶になる必要があるが、凝然はこの学侶ですらない。つまり、凝然が東大寺随一の学僧という名声を博しているのは、きわめて特異なことであることが分かる。凝然のような特殊な立場は、何に起因するのであろうか。おそらくは、源平争乱の煽りで壊滅的な打撃を被った東大寺の復興という一大目標のために、東大寺が凝然のような博学多才な人材を必要としていたことが大きな要因あろう。そのために、凝然は学僧ではあるが、学侶ではないという独自な道を歩むことになるのである。

言及状況

Twitter (1 users, 8 posts, 0 favorites)

凝然と東大寺 藤丸要・著 https://t.co/acaNzOIEf5
凝然と東大寺 藤丸要・著 https://t.co/acaNzOIEf5
(凝念と同時代の)明恵上人高弁(1173〜1232)‥自宗を堅持しつつも他宗の教学との融会を図る https://t.co/acaNzOIEf5
(凝念と同時代の)明恵上人高弁(1173〜1232)‥自宗を堅持しつつも他宗の教学との融会を図る https://t.co/acaNzOIEf5
(凝念と)同時代に活躍した鎌倉新仏教の祖師たち‥当時にあっ ては従来の教学からはなはだ逸脱したとも誤認されるような教義を構築した https://t.co/acaNzOIEf5
(凝念と)同時代に活躍した鎌倉新仏教の祖師たち‥当時にあっ ては従来の教学からはなはだ逸脱したとも誤認されるような教義を構築した https://t.co/acaNzOIEf5
(凝然は)‥東大寺は八宗兼学の道場であるとの 認識に基づいて、教学復興にあたっていた https://t.co/acaNzOIEf5
(凝然は)‥東大寺は八宗兼学の道場であるとの 認識に基づいて、教学復興にあたっていた https://t.co/acaNzOIEf5

収集済み URL リスト