著者
松倉 文比古
出版者
龍谷大学龍谷紀要編集会
雑誌
竜谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.1-31, 2007-03

『日本書紀』景行天皇紀にみる熊襲・九州親征記事は、景行朝の事績についての冒頭部分に置かれ、『古事記』景行天皇段にはない独自のものである。そして、これを承けてヤマトタケルの熊襲征討が配置されている。それは、『古事記』序による限り「旧辞」には本来無かったと理解できる。従って『古事記・日本書紀』の編纂時に構想された歴史のなかでそのことの意味を検討することが、本稿の趣旨である。またそれを通して、七世紀後半から八世紀初頭、版図(歴史的世界)に関して如何なる理解を有していたのかを併せて論じた。

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