著者
三船 毅
出版者
愛知学泉大学
雑誌
愛知学泉大学コミュニティ政策学部紀要 (ISSN:13447939)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.189-210, 2000-12

投票行動研究において投票コストは重要な概念である。投票コストとは、有権者が選挙で投票する際に負担する時間,労力,そして、そのための情報収集などである。実証研究では有権者の社会的属性が投票参加に影響を与えることは,初期の研究からの多くの研究者が検証してきた。これはいわば,有権者の社会的属性が投票コストを減少させることを検証してきたのである。しかし,有権者のコストを減少させるメカニズムは社会的属性だけではない。近年ではSocial Capital(人間関係資本)に代表されるように,個人の持つ人間関係がその人の行動に影響を与えるといった考えが,社会学・政治学の中でも用いられるようになってきている。本稿では,投票コストの概念的整理をおこない,理論的分析で提出されてきた,難問であるダウンズのパラドクス,さらにそれを拡張させたオルソン問題を整理し,先行研究の解決方法を検証し,実際の有権者のコスト減少のメカニズムを分析していく。

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なるほど“@terrakei07: 「投票に行かない若者はクソ」みたいな風潮こそクソ。国民が投票する際に払う「投票のコスト」は、その人の属性や立場によって全然違うんだから / 投票参加とコスト http://t.co/tnnwCbLI”
RT。これは確かに一票の格差以外にも考えられるべきだな。仕事や子育てやレジャーに対する重みづけが大きな若者や、投票所への移動が困難なほどの高齢者は(本人の意思次第とはいえ)統計的に有権者としての価値が低いと候補者にみなされうるかも: http://t.co/gvBD39wR …

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