- 著者
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大出 晁
- 出版者
- 創価大学
- 雑誌
- 創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.A81-A111, 2000-03
一般に,ヘレニズム時代とはアレキサンドロス大王の死(前323年)からエジプトにおけるプトレマイオス王朝の終焉とそのローマ併合(前30年)にわたる時期を意味するが,ここでもその慣習にしたがうとともに,ローマ時代の呼称でローマ帝国の成立(前27年)から西ローマ帝国の滅亡(後476年)にいたる時期をさすものとする。もちろん,都市としてのローマは前8世紀以来建設されていたし,ローマ共和国も前507年に成立してはいたが,これらふたつの時期を論ずることで,われわれは前4世紀終わりから5世紀後半にかけての時期を扱うことができ,以前の論述につなげることができるからである。まず,この時期における知識形態の重要な特徴について論ずることから考察をはじめることにしたい。