2 0 0 0 IR Quineの集合論

著者
大出 晁
出版者
三田哲學會
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
no.46, pp.83-108, 1965-02

I. パラドックス Cantorの定理 順序数の定理II. Quineの体系III. NFにおける自然数と数学的帰納法IV. NFにおけるCantorの定理V. NFと選択公理VI. MLの利点 1. 数学的帰納法 2. 自然数の集合N 3. Cantor, Burali-Fortiのパラドックス 4. MLと選択公理VII. NFとMLとの関係 : 相対的無矛盾性VIII. MLとNFにおける個体の問題橋本孝先生古希記念論文集
著者
大出 晁
出版者
創価大学
雑誌
創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.A81-A111, 2000-03

一般に,ヘレニズム時代とはアレキサンドロス大王の死(前323年)からエジプトにおけるプトレマイオス王朝の終焉とそのローマ併合(前30年)にわたる時期を意味するが,ここでもその慣習にしたがうとともに,ローマ時代の呼称でローマ帝国の成立(前27年)から西ローマ帝国の滅亡(後476年)にいたる時期をさすものとする。もちろん,都市としてのローマは前8世紀以来建設されていたし,ローマ共和国も前507年に成立してはいたが,これらふたつの時期を論ずることで,われわれは前4世紀終わりから5世紀後半にかけての時期を扱うことができ,以前の論述につなげることができるからである。まず,この時期における知識形態の重要な特徴について論ずることから考察をはじめることにしたい。
著者
大出 晁
出版者
創価大学
雑誌
創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A1-A23, 1993-03

わたしは,すでに「アリストテレスの回顧的説明パターン」と題する論文において,アリストテレスの説明理論のもつ基本的特徴点について論じた。その主な論点はつぎのようになる。1.アリストテレスが事象を学問的に説明するときの基本的な考えは,説明されるべき事象を結論とする三段論法を与えることであり,かれはこれをその事象の「論証」とよんだ。2.この論証の方法には二種類ある。(a)中項としてかれの言う「原因」が与えられている場合で,「根拠の論証」とよばれる。例:近くにあるものは瞬く。惑星は近くにある。それゆえ,惑星は瞬く。これは「惑星が瞬く」という事象の,「近くにある」ことを原因とするところの論証である。(b)中項としてかれの言う「原因」が与えられていない場合で,「事実の論証」とよばれる。例:瞬くものは近くにある。惑星は瞬く。それゆえ,惑星は近くにある。これは「惑星は近くにある」という事象の,原因とは見なされない「瞬く」ことを中項とする論証である。だが,アリストテレスは,原因の認定については「惑星は近くにあるがゆえに,瞬かない」のであって,「瞬かないがゆえに,近くにある」のではない,と語っているのみで,それ以上の理由づけをしていない。3.この「根拠の論証」と「事実の論証」のうちで,「知識」とよびうるのは,その原因によって論証をおこなう「根拠の論証」のみである。4.このような「根拠の論証」の特徴は,「より感覚に近い事象」(瞬き)を「より感覚から遠い原因」(天体との距離)によって<説明する>点にある。感覚に近く疑いえぬ事象を,感覚から遠く,それだけ疑問視しうる原因によって,説明するために,説明されるべき事象がまず固定され,それにあわせて原因を探しだす「ハメコミ方式」の性格をもつ。それゆえ,原因あるいはそれをふくむ前提がまずおかれて,そこからさまざまな事象が引き出されるという意味での「演繹的」説明とは異なる。5.この「ハメコミ方式」においては,「実現した事象」から「それ以前の原因」への探索は可能であっても,「すでに実現した事象」から「まだ実現していない事象」への推論は許されないという,アリストテレスの考え方に支えられている。「過去への探索」は必然性をもつが,「未来への推論」は「未来事象の不確定性」のゆえに不可能であるというのが,その理由である。そして,この思考法はアリストテレスに限られぬギリシャ的思考法というべきものであり,ギリシャ的な円環的時間観に由来する。この時間観によれば,過去と未来に本質的な差はなく,「過去の教訓」はそのまま未来の予言につながるのである。そこで,わたしは,このような「根拠の論証」による説明論を「回顧的説明論」とよんだのである。わたしがこの論文で補いたい論点は五つあるが,そのうちのひとつは,この2の主張の原因あるいは中項の位置づけに関係し,残りの四つはいずれも5の主張に関係している。それら四つの論点とは,まず,アリストテレスのいう「条件づきの必然性」,後にスコラ学者がnecessitas ex suppositioneあるいはnecessitas ex conditioneとよんだものであり,第二は,アリストテレスの「出来事の同族性」なる概念であって,ここにかれの「過去・現在・未来」に関する独特な考え方を見ることができる。第三は,かれの「目的因」の概念であって,それがわれわれの通常用いる目的論的な意味内容とはなはだしく異なることを明らかにする。最後の論点はギリシャの円環的時間観についての補足である。以下,この順番にしたがって議論をすすめてゆくことにしたい。
著者
大出 晁 Akira OIDE
出版者
創価大学人文学会
雑誌
創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
巻号頁・発行日
no.6, pp.A63-A86, 1994-03-01

中世からルネッサンス末にかけて自然学の方法論に関する中心的な話題を提供したのは,アリストテレスの学問論であった。とくに,16世紀におけるパドヴァ学派の議論がガリレオをとおして近代科学の成立に無視できない影響をあたえたことは,近年の科学史研究を通じて明らかにされつつある。その論点のひとつにアリストテレスの<条件づき必然性>(necessitas ex conditione)あるいは<仮定的必然性>(necessitas ex suppositione)の概念をめぐる議論がある。わたしは,すでに,アリストテレ
著者
大出 晁
出版者
創価大学
雑誌
創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.A17-A52, 1998-03

本論文では「古代メソポタミアにおける知の系譜」につづいて<正統的知識観>の成立までの,すなわち,紀元前5世紀末ごろまでの古代エジプトおよび古代ギリシアにおける知識の系譜について考察する。
著者
大出 晁
出版者
創価大学
雑誌
創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.A61-A95, 1999-03

本論文では本誌に掲載した「古代メソポタミアにおける知の系譜」と「古代エジプトおよびギリシアにおける知の系譜」の2編の論文につづいて紀元前4世紀を中心とする古典期ギリシアにおける<正統的知識観>の成立の過程とその特徴について考察する。本論にはいる前に上記2論文で論じた紀元前5世紀末ごろまでの古代オリエントとギリシアにおける知識の特徴点について要約しておきたい。
著者
大出 晁
出版者
創価大学
雑誌
創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.A1-A31, 2001-03

この論文では前編をうけて正統的知識から非正統的知識にわたる連続スペクトル上の非正統性の色彩の濃い諸領域での知識の諸形態:占星術,医術,錬金術,魔術,各種の占断術,について論ずるが,まず,スペクトルの中央に近い占星術と医術から考察をはじめることにしたい.