- 著者
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荒川 昭
- 出版者
- 愛知学泉大学
- 雑誌
- 経営研究 (ISSN:09149392)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.1, pp.57-66, 1999-09
さきごろから,新社会資本という言葉が使われ始めた。ケインズ理論は新しい形で生きている。新公共投資による新社会資本という形で生きている。ところで,チャーチルとヒトラーの経済政策を比較すると,チャーチルはボールドウィン内閣のとき大蔵大臣で,金本位制に英国を復帰させて,石炭労働者のストを招き,失敗した。ヒトラーは,総統になるや否や,アウトバーン(高速度道路)をドイツに縦横に張りめぐらし,ドイツ国民に安い値段で自動車を提供しようとフェルディナンド・ポルシェに依頼してフォルクスワーゲン(国民大衆車)を開発させ,ケインズ理論を先取りして大成功した。消費は,所得だけでなく,その個人と社会の置かれている文化-精神生活-によって決定される。慶応義塾大学の村田昭治教授によれば,マーケティングは「生活の質」で決定される。新公共投資における新社会資本とは,光ファイバーによる通信網,インターネット,移動体通信/モバイル・コンピューティング,新形パソコンその他といわれている。われわれは,マーク・ポラートのいう第2次情報産業(特にますます高度化し,広域化し,多機能化するLANとWANの設計・運用・保守)を含めて,後期のインフラストラクチュアを主体にした,新社会資本のありかたを模索し,そして新社会資本が国民に与える「生活の質」を究明し検討して,現在,悪の代表といわれるヒトラーにまけないように,鋭敏な感覚によって新社会資本の設備投資により,日本経済・世界経済を再生しなくてはならない。