著者
鍛冶 博之
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.59-84, 2008

パチンコホール業界では、1980年に登場した「フィーバー機」が第3次パチンコブームを引き起こす一方で、遊技者に対してさまざまな弊害をもたらすことになったため、1981年から85年にかけて、警察による指導とパチンコ業界による自主規制が行われた。それによりホール業界では遊技機の射幸性に依存した経営方針を改善する必要に迫られた。こうして先進的ホール企業では、これを契機にしてサービス業としてふさわしいホール経営のあり方を模索するようになる。ずなわちホール企業による「経営改革」が進められ、1990年代に本格化し、今日に至る。とはいえ、経営改革のい重要性と必要性が強調されるようになって10年以上が経過した今日でも、その重要性を認識し実行するホール企業は一部に限られているのが現状である。本稿ではホール業界において、今日でもなお経営改革がホール企業全体では十分に実施されているわけではないという事実に着目し、なぜパチンコ業界の健全化に向けた取組みであるはずの各ホール企業による経営改革が全体的に浸透していないのか、つまり経営改革の抑制要因を探ることを目的としている。

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