著者
鍛冶 博之
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.33-42, 2021

<p>鍛冶〔2018〕では,大正期末期から昭和戦前期に出現した娯楽(レジャー)のひとつであるパチンコに注目し,パチンコが日本社会に誕生した経緯と,戦前期におけるパチンコブームの到来と停滞の動向を明らかにした。本稿はその続編であり,戦前戦中期にパチンコが普及した背景とその影響(もしくはパチンコ出現の意義)を考察することを目的とする。鍛冶〔2018〕および本稿での諸考察を通して,戦後におけるパチンコの巨大産業化と大衆レジャー化の礎が,既にそれ以前の日本社会において醸成されていたことを明確にできると思われる。</p>
著者
鍛冶 博之
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.89-102, 2016-09

Key to advancing the revitalization of the Pachinko (Japanese pinball) industry is not only to develop strategies for improvement inside and outside of the industry, but also to convey those changes to a wide audience, not only to industry officials and hall users, but also to other people who don't have regular contact with pachinko. Particularly with the latter audience, there are promotional campaigns involving a variety of media. In the media, the publication of various pachinko-related books plays the important role in promoting the reality of the industry salutary change in Japanese society. One kind of publication which allow people to easily experience the reality of the pachinko industry are "kiss-and-tell" books (bakurobon)about pachinko. The purpose on writing is to focus on these pachinko kiss-and-tell books in particular and to explore the themes that the kiss-and-tell books illustrate through their content analysis.
著者
鍛冶 博之 Hiroyuki Kaji
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
no.78, pp.23-47, 2007-03-15

28兆円近くの市場規模を誇るパチンコ業界は、今や日本を代表する巨大産業のひとつである。しかしその成長・発展の産業史は、法的規制や偏見を含めた数々の課題を抱え込みながら、時にそれらを克服し、時に妥協点を見出しながら形成されてきた歴史でもある。そしてそれらの課題のなかには、今なお未解決のまま残されているものが少なくない。パチンコ業界全体が「業界の健全化」をいっそう推進し、業界改革を実現するためには、個別ホール企業による経営改革のほかに、業界全体が長年にわたって抱え続けてきた諸問題に真正面から取組んで解決して聞く積極的姿勢が必要とされるのである。筆者は、特に1980年代以降のパチンコホール業界における経営改革に関する研究を進めているが、本稿はこの研究を補足する役割をもつ。つまり、ホール業界が経営改革を実現させていくうえで解決すべき従来からの課題を取り上げてその問題点と対策法を、本号と次号の2回に分けて論じていきたいと考えている。ただし業界が抱える課題は多岐にわたるので、本稿では「経理の不透明性に関する課題」「換金システムに関する課題」「パチンコ依存症に関する課題」「ゴト師と不正機器に関する課題」「競合の激化に関する課題」「『パチンコ』という言葉自体に関する課題」の6点に絞って分析を進める。
著者
鍛冶 博之 Hiroyuki Kaji
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.121-146, 2018-05-31

1980年代以降、ベトナムは著しい経済成長を遂げ、多くの商品がベトナム国民の日常生活に普及するようになった。特にオートバイは日々の移動手段として購入され利用されており、ベトナム社会におけるランドマーク商品のひとつとして位置づけられよう。本稿は、発展途上国を対象とする商品史 研究の一例として、1990年代よりベトナムで急速に普及し、今日もなお生活者の不可欠な生活必需品として位置付けられるオートバイに注目し、オートバイが1990年代以降に急速に普及した経緯と背景を明らかにすることを目的とする。
著者
鍛冶 博之
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.59-84, 2008

パチンコホール業界では、1980年に登場した「フィーバー機」が第3次パチンコブームを引き起こす一方で、遊技者に対してさまざまな弊害をもたらすことになったため、1981年から85年にかけて、警察による指導とパチンコ業界による自主規制が行われた。それによりホール業界では遊技機の射幸性に依存した経営方針を改善する必要に迫られた。こうして先進的ホール企業では、これを契機にしてサービス業としてふさわしいホール経営のあり方を模索するようになる。ずなわちホール企業による「経営改革」が進められ、1990年代に本格化し、今日に至る。とはいえ、経営改革のい重要性と必要性が強調されるようになって10年以上が経過した今日でも、その重要性を認識し実行するホール企業は一部に限られているのが現状である。本稿ではホール業界において、今日でもなお経営改革がホール企業全体では十分に実施されているわけではないという事実に着目し、なぜパチンコ業界の健全化に向けた取組みであるはずの各ホール企業による経営改革が全体的に浸透していないのか、つまり経営改革の抑制要因を探ることを目的としている。
著者
鍛冶 博之 カジ ヒロユキ Kaji Hiroyuki
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.75-104, 2014-08-29

論説(Article)本稿の目的は、レジャーの商品史的考察のひとつとして日本における代表的なレジャーであるパチンコを取り上げ、パチンコの出現と普及の経緯、日本社会で普及した背景(海外で普及していない背景)、日本社会にもたらした影響を考察し、ランドマーク商品としての可能性を模索することである。第1章では、戦前期に注目し遊技機の起源とパチンコが日本社会で誰によって、いつ頃、どこで登場したのかを考察する。第2章では、戦後期に注目しパチンコ産業史の動向を主要な出来事に注目して概観する。第3章では、なぜパチンコが日本社会で普及したのか(逆になぜ海外では普及していないのか)について考察する。第4章では、パチンコが日本社会に及ぼした影響を考察する。そして最後に、パチンコがランドマーク商品とみなせるのか否かについて検討する。Pachinko is one of Japanese leisure activities and is regarded as the typical Japanese culture. The market scale of Pachinko industry in Japan amounts to about twenty trillion yen. It occupies about thirty percent in Japanese leisure industry. The purpose of this paper is to clarfy the detail of Pachinko's appearance, the reason why Pachinko can spread in Japan (in other words ; the reason why it can't spread in foreign countries), and the influence which it has on Japanese society, and to study whether Pachinko can be regarded as the Landmark Commodity or not.
著者
鍛冶 博之 Hiroyuki Kaji
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.49-76, 2013-05-31

パチンコホール経営では、遊技球一球あたり4円で貸し出す「4円パチンコ」が主流であったが、2000年代半ば以降、遊技球を一球当たり4円未満で貸し出す営業形態として「低貸玉営業」が登場し、特に遊技球一球あたり1円で貸し出す「1円パチンコ」が注目を集めるようになった。今や低貸玉営業はホールの経営戦略にとって不可欠な要素であり、4円パチンコに続く強力な市場を形成しつつある。本稿では、パチンコホール企業が2006年頃より展開するようになり今日のホール企業経営の主要戦略のひとつと位置付けられる低貸玉営業に注目し、低貸玉営業が登場して全国に普及した経緯とその背景を明らかにすることを目的とする。第1章では史的経緯、第2章では普及背景について考察する。
著者
鍛冶 博之 Hiroyuki Kaji
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
no.83, pp.99-125, 2009-02-28

本稿の目的は、第1に、小売・流通業界の大手企業であった株式会社ダイエーがパチンコホール事業を展開するようになった歴史的経緯を解明すること、第2に、1980年代後半からパチンコ業界の健全化の一環として展開される、ホール業界での「経営改革」にもたらした影響を考察すること、以上二点である。なお本稿では、ダイエーが日本ドリーム観光への経営支援と買収を行った時期(1980年代)と、株式会社パンドラを子会社化し、ホール業界への本格的参入を果たした時期(1990年代前・中期)に着目する。
著者
鍛冶 博之
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.33-42, 2021-09-30 (Released:2021-10-21)
参考文献数
28

鍛冶〔2018〕では,大正期末期から昭和戦前期に出現した娯楽(レジャー)のひとつであるパチンコに注目し,パチンコが日本社会に誕生した経緯と,戦前期におけるパチンコブームの到来と停滞の動向を明らかにした。本稿はその続編であり,戦前戦中期にパチンコが普及した背景とその影響(もしくはパチンコ出現の意義)を考察することを目的とする。鍛冶〔2018〕および本稿での諸考察を通して,戦後におけるパチンコの巨大産業化と大衆レジャー化の礎が,既にそれ以前の日本社会において醸成されていたことを明確にできると思われる。
著者
鍛冶 博之
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.185-196, 2018-09-09 (Released:2019-02-20)

本稿の目的は,筆者がこれまでの研究活動で取り組んできたテーマである「パチンコホール企業改革に関する史的研究」の成果を整理しつつ,パチンコ産業研究の現状と課題を明らかにし,今後の研究活動の方向性を示すことである。本稿は,筆者自身のパチンコ産業史研究の中間報告としてのみならず,学術分野におけるパチンコ産業研究の深化の必要性を強調する役割も担う。第1 章ではパチンコホール経営の現状について数値を活用しながら概観する。第 2 章から第5 章では筆者の研究活動の成果と位置づけを試みる。第6 章では本稿での考察を踏まえて,今後の研究活動の課題と展望に言及する。
著者
鍛冶 博之 カジ ヒロユキ KajiHiroyuki
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.159-188, 2016-02

論説(Article)本稿は、商品史の事例分析のひとつとして、近世以来の徳島の代表的な特産品である阿波藍を取り上げることを目的とする。第1章では、藍の起源、阿波藍の出現経緯、阿波藍の生産方法、近世に大量生産された諸要因、阿波藍をめぐる商業活動、消費方法について言及する。第2章では、徳島藩による阿波藍の保護奨励政策を概観する。第3章では、阿波藍が近世の徳島社会に及ぼしたさまざまな影響を10項目列挙し考察する。The purpose of this paper is to analyze the detail of the Awa-Indigo from a view-point of Commodity History (For example, studies on the process of the appearance and spread, the way of production and consumption, the factors of mass production, and social influence), which has been the one of special products since the modern times in Tokushima.
著者
鍛冶 博之
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
no.83, pp.99-125, 2009

論文(Article)本稿の目的は、第1に、小売・流通業界の大手企業であった株式会社ダイエーがパチンコホール事業を展開するようになった歴史的経緯を解明すること、第2に、1980年代後半からパチンコ業界の健全化の一環として展開される、ホール業界での「経営改革」にもたらした影響を考察すること、以上二点である。なお本稿では、ダイエーが日本ドリーム観光への経営支援と買収を行った時期(1980年代)と、株式会社パンドラを子会社化し、ホール業界への本格的参入を果たした時期(1990年代前・中期)に着目する。The purpose of this paper is to clarify why Daiei developed the pachinko parlor business in 1980s-1990s, and what influence a management policy of Daiei had to the management reform in the pachinko parlor industry. This paper covers from 1980s (a period when Daiei supported the business of Nihon-Dream-Kanko Ltd.) to 1990s(a period when Daiei controlled Pandora Ltd. as a subsidiary company and started to manage some of pachinko parlors which Pandora had owned).