著者
越智 匠作 太田 猛彦 田中 延亮 堀田 紀文
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.75-80, 2008-06-15

幼齢林における樹冠遮断量の測定上の問題点を解決できるような大型雨量計のデザインを提示し,実際に作製した大型雨量計を用いてその実用性を検討した。雨量計の重要な要素である受水面積は,我が国の一般的な幼齢林の植栽密度,植物への影響,メンテナンス性,既往の大型雨量計を用いた樹冠遮断研究における受水面積の決定基準などを参考にして,約5m^2が適当であると決めた。大型雨量計の実用性は,次の各実験により確認した。まず,降雨強度の大きい降雨イベントにおいても雨量計からの排水水量を正確に測定できるようするために,本研究で用いた500mLの転倒マス型量水計を対象に大流量を含めた流量検定を行い,流量と1転倒に要する水量との関係を求めた。次に,大型雨量計の初期損失量を求めたところ0.2mm以下であり,大型雨量計の排水性は良好であった。さらに,大型雨量計の受水面積を厳密に求めるために,自然降雨を対象にした大型雨量計と貯留型雨量計の比較観測を行った。転倒マス型量水計の検定結果を考慮して補正した大型雨量計からの排水水量と,貯留型雨量計が示した雨量の関係は,良好な直線関係を示しており,その直線の傾きから大型雨量計の厳密な受水面積を決めた。また,その直線関係は,通常の降雨イベントだけでなく強度の大きい降雨イベントにおいても成り立っていたため,本研究で提示した大型雨量計は降雨強度の大きいイベントにも耐えうる実用性の高い雨量計であることがわかった。

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こんな論文どうですか? 幼齢林の樹冠遮断量測定のための大型雨量計の検定(越智匠作ほか),2008 http://id.CiNii.jp/b8qqL

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