- 著者
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関戸 英紀
- 出版者
- 日本特殊教育学会
- 雑誌
- 特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.5, pp.95-102, 1994-03-31
質問に対してエコラリアで応じる14歳の自閉症男児に対して、明確な順序性をもち、動機づけの高い共同行為ルーティンを設定し、その文脈を用いて対象児の認知的発達水準を考慮しながら、適切な応答的発話の習得を目的とした指導を約3か月間行った。その結果、4セッションめでエコラリアが消失し、18セッションめで指導目標とした4つの質問すべてに正答できた。また、日常場面においても応答的発話に変化がみられた。以上のことから、場面文脈を対象児の認知的発達水準に近接させていくことによって文脈の理解がされ、このことがエコラリアの消失を促進したと考えられること、また場面文脈および質問の意味の理解を促進するためには最小限必要な要素から構成される、単純化された場面を設定し、しかもスクリプトの主要な要素から指導を開始することの重要性が検討された。