著者
須藤 邦彦
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.268-277, 2008-06

本研究では,1名の自閉性障害児を対象に,困難な状況にある他者を援助する行動を獲得させ,援助行動を生起させるための様々な弁別刺激の効果を検討した。ここでは,援助行動を生起させるための弁別刺激を,(1)相手から援助を要求される言語刺激(言語刺激条件),(2)相手の物品の不足という状況刺激(状況刺激条件),(3)相手から援助を要求される言語刺激と観察反応を自発させる刺激(複合刺激条件),という3点で統制した。その結果,言語刺激条件や状況刺激条件のみならず,複合刺激条件においても標的行動が生起し,それが維持・般化した。このことから,自閉性障害児が,言語刺激や状況刺激のような手がかりだけでなく,観察反応を自発させる刺激のような援助者自身に属する手がかりを援助行動の弁別刺激として利用できる可能性が示唆された。また,これらの刺激を複合して,より高次な援助行動を生起させることができることも推察された。

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