- 著者
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西村 則昭
- 出版者
- 仁愛大学
- 雑誌
- 仁愛大学研究紀要 (ISSN:13477765)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.41-56, 2007
詩とは,言葉を言語の日常的なあり方(散文的なあり方)から離脱させることによって,新しい時空,魂(散文的な言葉ではうまく捉えられない感覚や思い)に相応しい場を,開き出すものであるといえる.ところで,現在の言語の状況を見るならば,言語の散文的なあり方の拘束力が強まり,詩的な飛躍は難しくなっているのではないだろうか.現代の詩人たちは,言語の散文的なあり方の強い拘束力を意識した上で,それに対抗しうるより強度のある言葉を探求しているように思われる.本稿では,現代日本の詩人,金井美恵子(1947- ),野木京子(1957- ),小笠原鳥類(1977- ),水無田気流(1970- )の各々の作品を取り上げ,それらにはどのような魂の論理が見出されるか,分析解釈を行なった(魂の現象学の試み)が,その際,ジャック・ラガンの精神分析理論を参照しつつ,それらの作品における魂の表現のための言葉はどのようなものであるかを論じた.