著者
池田 美桜
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.111-116, 2006-03

児童文学には,一般文学とは異なった独特の表現様式がある。本論では,児童文学の独自性を探る一歩として,作品の文体に着目している。「誰(何)に向けて書くか」「誰(何)について書くか」ではなく,「どのように書くか」という観点からの試みである。本稿はその第一歩として,児童文学特有の文体的特徴を国立国語研究所発行の「分類語彙表」を使用し,その有効性をさぐっている。「分類語彙表」では,言葉の意味にもとづいた分類が行なわれるため,単語の難易の程度は一切考慮されない。また,助詞や助動詞を分類の対象としないため,文末表現に見られる特性も考慮されない。そのため,「分類語彙表」に基づいた分析では,児童文学の特性を明らかにすることはできなかった。このことは,児童文学の文体的特性が言葉の易しさや文末表現にあることを示している。

言及状況

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芥川龍之介の児童文学作品が必ず「です・ます」調、敬体で書かれていることに関連して、 『赤い鳥』などの大正期の童話に見られる「です・ます」調が、どのような経緯で使われるようになったのか、文体史を知りたい。 <事前調査資料> 雑誌『日本近代文学』第66集(2002年5月15日発行)疋田雅昭/著「言文一致の忘れ物~敬体の言文一致体をめぐって~」

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