- 著者
-
濱田 勝宏
- 出版者
- 文化女子大学
- 雑誌
- 文化女子大学紀要 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.59-70, 2000-01
現代都市の核家族について, 都市的生活構造の要因との関連で考察している。本稿では, 生活関係構造に重点をおいた。先に, 生活空間構造の側面において, 「近隣」「Iコミュニティ」の問題をとりあげたので, 生活関係について重複をさけることはできないが, 核家族とその成員の生活関係のネットワークが, 日常生活の経験則からみても複雑で多様な様相を示しているのは事実である。そして, とかく都市的生活様式論の立場からみると, 都市生活における生活関係構造を初期シカゴ学派的な見解で抱えがちである。すなわち, 都市生活における人間関係は, 匿名的でインパーソナルなものと断定される傾向が強い。先稿でもふれたように, このようなネガティブな評価に疑問を果してきたところである。そこで, 初期シカゴ学派への批判的修正(全面的に否定するものではないが)を加えつつあるネオシカゴ学派の人々, 特にクロード・S. フィッシャーの研究に依拠して, 新たな方向性を見出すことに努めた。フィッシャーの下位文化理論にもとづく都市生活における「友人」「家族」から, 友人関係ネットワーク, パーソナルネットワークというラインがそのひとつであることを指摘した。