- 著者
-
前川 泰之
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.108, no.201, pp.1-6, 2008-09-04
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
-
5
1986年から2006年にかけて大阪電気通信大学(大阪府寝屋川市)において約20年間測定されたKa帯とKu帯衛星電波の降雨減衰特性について累積時間率分布等の長期統計結果を算出し、ITU-R勧告による予測値等との比較検討を行った。約20年間の長期統計に関しては、同勧告による降雨強度0.01%を用いた予測値と両周波数帯の減衰値はいずれもよい一致が見られたが、各年のそれぞれの0.01%値には約20%程度の変動があることが分かった。この変動は降雨強度の年変動の他に、雨域等価通路長の年毎の変動も大きく関与しており、5月から10月にかけての降雨時の平均地上気温が高い年ほど雨域等価通路長が長くなる傾向が見られた。しかし、雨域等価通路長の増加は単に地上気温の上昇に伴う降雨高度の増加だけでは容易に説明できず、むしろ夏季に発生する夕立や台風等の熱帯性降雨による降雨減衰の年間発生時間率と密接な関係があり、夕立や台風の発生時とそれら以外の降雨時における雨域等価通路長の差とその年間発生時間率の割合で各年の雨域等価通路長がほぼ決まることが分かった。