- 著者
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薬師寺 洋之
- 出版者
- 近畿大学
- 雑誌
- 商経学叢 (ISSN:04502825)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.2, pp.155-170, 2007-12
Alfred Weberによって1つの学問的体系としてまとめ上げられた立地論は,その後,相互依存的経済体系の中での立地理論あるいは空間経済学として吸収され,発展していった。しかし,かれの意図は,工業立地を,価格現象あるいは相互依存的経済体系から離れ,構造的なものとして捉えることにあった。また,現代経済のグローバル化の進展の下では,貿易理論よりWeberの古典的立地理論の方が,明快に光を当てられる一面がある。そこで,最初の仕事として,Weberの「立地因子」の規定を再検討する。すなわち自然的=技術的計算に基づき,国民経済を対象とするWeber立地論を,批判的に検討し,世界経済的立地論へと翻案する試みに向かって,世界経済の中での立地因子をどう規定すべきかについて,筆者の見解を提示する。