著者
長崎 靖子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.173-186, 2008

本稿では,長崎(1998)の追調査として,昭和初期から現代に至る終助詞「さ」の機能的変遷を観察した。長崎(1998)では,江戸語における終助詞「さ」の機能を調査し,その主たる機能は断定の働きであったこと,またこの働きが,明治から大正にかけて,現在のように情意表現を主体とした終助詞の機能に移行していく経過を報告した。本調査では,終助詞「さ」を,昭和前期(第二次大戦前),昭和後期(第二次大戦後),平成期に分けて,その機能的変遷を観察した。昭和前期には,終助詞「さ」の用法として,江戸語に見られた丁寧な会話にも使用される用例が見られた。特に江戸語の名残のある女性の言葉遣いの中心その用法が見られた。戦後は,終助詞「さ」の女性の用例は減少し,用言に接続する用例加増加し,「さ」は主に男性が使用する終助詞として定着した。平成に入ると,「さ」は終助詞としての使用より,間投助詞としての使用が目立つようになる。特に若い世代では終助詞「さ」は,男性にもあまり使用されなくなっている。この結果から,今後「さ」の終助詞としての機能は,衰退していくことが予想される。

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https://t.co/fEy9elVfWI 三笑亭可楽の作品における「ござる」について https://t.co/IE8qo1kjzq 現代語の終助詞「さ」の機能に関する考察

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