著者
赤堀 正宜
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-18, 1998

アメリカにおける公共放送の発達に及ぼしたフォード財団の貢献を否定する人は一人もいないであろう。エングルマン(Ralph Engelman)は「フォード財団はアメリカにおける非商業放送の揺籃期を注意深く育て上げ、カーネギー財団はその後の少年期の育成に努力した。この両財団の連携による貢献なしには、今日の公共放送はありえなかったであろう。」とのべ、2つの巨大篤志財団の貢献を証ししている。さらに、フォード財団成人教育基金の副会長を務め、「アメリカの教育放送」を著したブレイクリー(Robert J. Blakely)は、「1951年、フォード財団は多くの教育テレビ・ラジオ局より補助金の要請をうけ、これらの要求を実現するために成人教育基金と教育革新基金を設立し、公共放送の発展に寄与した。」とのべ、フォード財団の活動を詳述している。事実連邦政府が公的資金を公共放送の発展に支出したのは1962年公共放送設備法成立以後のことであり、それ以前は民間の資金によって公共放送は成長してきた。本論文では、初期の公共TV放送の基礎形成に貢献したフォード財団の活躍に焦点をあて、アメリカ篤志財団の篤志行為(Philanthropy)への理念、公共放送育成の理念を明らかにし、民主社会における公共放送のあり方を追求する。

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