- 著者
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吉岡 一男
- 出版者
- 放送大学
- 雑誌
- 放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, pp.79-88, 2005
おうし座RV型星は、主極小と副極小を交互にくり返す光度変化が特徴の半規則的な変光星である。この変光星は、光度曲線をもとにRVa型とRVb型に細分類されており、RVb型が脈動周期に重なって長周期の光度変化を示すのに対して、RVa型はそのような長周期変化を示さない。またこの変光星は可視域のスペクトルをもとに、酸素過剰なAグループと炭素過剰なB,Cグループに細分類されている。われわれは、国立天文台の堂平観測観測所と岡山天体物理観測所の91cm反射望遠鏡に偏光分光装置(HBS)を取り付けて、明るい5個のおうし座RV型星の偏光分光観測を行った。そして次の結果を得た。(1)ふたご座SS星といっかくじゅう座U星とおうし座RV星では、偏光度の波長依存性に時間変動が見られる。とくにふたご座SS星の時間変動は、この星には星周圏ダスト層がないとの、われわれのMCP観測から得られた結果を覆す。(2)上記の時間変動の多くには脈動の位相との相関が見られないが、長周期光度変化と相関がありそうな星がある。(3)いっかくじゅう座U星のいくつかの観測では、その偏光度にいくつかの波長でピークが見られ、ピークの波長が放射の吸収帯に一致している。この結果を確認するために、さらなる観測を要する。(4)おうし座RV星以外では、偏光位置角に波長依存性は見られない。おうし座RV星では、長周期光度変化の増光期に5500Å付近よりも短波長域で偏光位置角が波長とともに減少している。この波長依存性は、たて座R星の過去の偏光分光観測で観測されたものと似ている。